視点 【視点】返礼品に「尖閣」漁の活性化期待 石垣市が8月から、尖閣諸島周辺海域で獲れた「尖閣アカマチ」をふるさと納税の返礼品に加える。返礼品に尖閣ブランドが採用されるのは初めてだという。停滞している尖閣諸島周辺海域での漁を活性化する効果が期待されそうだ。 尖閣諸島は、言うまでもなく石垣市の行政区域だ。市によると、尖閣諸島周辺海域は温かい黒潮の流れと大陸からの栄養塩を含む低温の水が混ざり合う潮目に位置している。カツオ、マグロ、カジキ、マチ類な… 2023/07/18
視点 【視点】知事訪中「外交」に値せず 玉城デニー知事が日本国際貿易促進協会のメンバーと訪中し、李強首相と面会した。中国艦船が石垣市の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返し、地元の漁業者を脅かしていることが日中間の大きな問題になっているが、知事が尖閣に言及することはなかった。面会後、報道陣に「特に尖閣についての話は出なかったので、私からもあえて何か言及することもなかった」と説明した。 尖閣問題だけでなく、県民が今、最も心配している「台湾有事」… 2023/07/07
視点 【視点】市民目線が欠落している 行政は常に市民の目を意識し、市民と同じ目線に立って進めなくてはならない。だが石垣市が新任課長との意見交換会で配布した資料には、議会答弁について「一般的に、与党であれば前向き・積極的な答弁となり、野党であればその反対になります」と記されていた。行政内部の論理だけが目立つ文章だ。 「公務員の議会答弁術」という書籍の抜粋だという。民主主義や市民の福祉増進といった、本来、公務員が最優先で考えるべき視点… 2023/07/05
視点 【視点】慰霊の日 沖縄の守り万全に 「命どぅ宝」という沖縄でよく知られた言葉を改めて深く胸に刻む日である。きょう23日は沖縄戦で旧日本軍の組織的戦闘が終結した日とされる「慰霊の日」だ。 太平洋戦争末期の熾烈な沖縄戦で、軍民合わせて約20万人余が犠牲になった。県民の多くが、両親や祖父母から悲惨な戦争体験を聞いて育った。県民の平和を希求する心は強い。 だが一方で「台湾有事」勃発の懸念が増大するなど、沖縄を取り巻く国際情勢はきな臭さを増し… 2023/06/23
視点 【視点】少子化対策 実行に移せるかが課題 少子化が加速している。厚生労働省が発表した2022年の人口動態統計では、女性一人が一生に産む子どもの推定人数である合計特殊出生率が1・26となり、過去最低の水準と並んだ。 このまま子どもの数が減少すれば日本の人口も縮小する。それに伴って経済的な活力が低下すれば、将来にわたって日本人が豊かな生活を維持できるかどうか黄信号がともる。日本の国際的な地位にも影響するだろう。 日本が経済的に衰退しつつ… 2023/06/06
視点 【視点】離島防衛に課題突き付け 日本の離島防衛に大きな課題が突き付けられた。北朝鮮の「人工衛星」と称するミサイルが5月31日朝、発射されたのに、自衛隊は迎撃のため1カ月も前に石垣島に搬入した地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を南ぬ浜町に展開できず、迎撃の方法はPAC3だけではないが、悪く言えばミサイルに手も足も出なかった。こんな状況で沖縄を、さらには日本をミサイルの被害から守れるのか。自衛隊の思わぬ「弱点」に多くの国民が驚い… 2023/06/01
視点 【視点】台風とミサイル 八重山緊迫 台風とミサイルの「ダブル襲来」も有り得る状況だ。八重山が緊迫している。 気象庁によると、先島諸島は31日以降、台風2号の暴風域に入る可能性がある。十分な警戒が必要だ。 一方、北朝鮮は31日から6月11日までの間にミサイルを発射すると予告した。 2016年に北朝鮮が人工衛星と称するミサイルを発射した際、ミサイルは先島諸島の上空を通過したと見られている。ミサイルが今回も同じ軌道となった場合、石… 2023/05/31
視点 【視点】日本がリーダーシップ示した 21日閉幕した先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は、ホスト国である日本が国際社会で存在感を発揮した久々の機会となった。注目すべきは首脳声明で「国際社会の安全と繁栄に不可欠な台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認する」と明記したことだ。7カ国が一致し、中国の傍若無人と対峙する姿勢を示した意義は大きい。 中国艦船が領海侵入や日本漁船への威嚇を繰り返している尖閣諸島(石垣市)周辺の状況に関しても「… 2023/05/24
視点 【視点】国境の島 早急な防衛強化を 防衛省が陸上自衛隊与那国駐屯地に地対空ミサイルを配備する計画の住民説明会を開いた。2023年度に駐屯地東側の約18㌶を取得し、訓練場、隊庁舎、火薬庫、覆道射場を設置する予定だ。 与那国島は、中国の軍事的圧力にさらされる台湾とは約111㌔しか離れていない。台湾有事が発生した場合は、中国の攻撃対象となる恐れもある。にもかかわらず与那国駐屯地には沿岸監視部隊しかおらず、島を守る実戦部隊が配備されてい… 2023/05/18
視点 【視点】自衛隊配備「負担」ではない 沖縄の日本復帰から15日で51年となった。昨年は復帰50年という大きな節目が全国的に話題だった。今年は石垣島で陸上自衛隊の駐屯地が開設されたことなどを念頭に、沖縄の「基地負担」が増えていると喧伝する報道がある。 だが、自衛隊の配備は周辺国の脅威や災害から沖縄を守るための政策であり、これを「基地負担」と表現するのはふさわしくない。自衛隊配備は、むしろ県民の安全安心に資する。県民は一方的な報道に煽… 2023/05/16
視点 【視点】改憲、沖縄から率先して発信を 3日は76回目の憲法記念日となる。国会は憲法審査会で憲法の在り方を議論しているが、与野党で意見が割れた状況が続き、改憲に向けた具体的な動きは見えないままだ。 改憲を巡って最大の関心事は、戦力の不保持を定めた憲法9条の扱いだ。沖縄では長く「9条の理念を生かし、軍隊や基地を撤去することが平和につながる」という固定観念が支配的だった。 だが、それは誤りだ。隣国の中国が軍事大国として台頭する中、日本… 2023/05/02
視点 【視点】PAC3展開 自衛隊は万全体制を 北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイル発射に向けた動きを見せていることを受け、浜田靖一防衛相が破壊措置準備命令を出し、石垣島や与那国島などで空自の地対艦誘導弾パトリオット(PAC3)展開が慌ただしく進んでいる。 北朝鮮ミサイルは南西諸島上空を通過する可能性があると見られる。PAC3は、ミサイルの破片などが落下する不測の事態が起きた場合、地上から迎撃するための装備だ。石垣島でのPAC3展開は2012… 2023/04/27
視点 【視点】テロ続発は民主主義の自殺 岸田文雄首相が衆院和歌山1区補選の応援で訪れていた和歌山市で、24歳の男が首相を狙って爆発物のようなものを投げ付ける事件が起きた。首相は無事で、集まった人々にも大きなけがはなかったが、破壊力のある爆弾が爆発していれば大惨事となる恐れもあった。卑劣なテロ行為を断固非難する。 昨年7月には、参院選で街頭演説していた安倍晋三元首相が銃撃される事件が起きた。要人を狙うテロ事件が続発する世相は、日本の「… 2023/04/19
視点 【視点】憲法は平和に役立っているのか 中国軍は8日から3日間、台湾周辺で軍事演習を行い、空母「山東」を動員するなど、台湾に露骨な圧力を加えた。台湾に近い八重山でも懸念が広がった。中国の軍事行動は地域の緊張をいたずらに高めており、断じて容認できるものではない。 中国が昨夏に台湾周辺で行った軍事演習では、日本のEEZ(排他的経済水域)を含む波照間島や与那国島周辺にも弾道ミサイルを撃ち込み、八重山住民に衝撃を与えた。今回の演習ではそうし… 2023/04/12
視点 【視点】「沖縄ヘイト」は存在しない 県議会は2月定例会最終本会議で「差別のない社会づくり条例」を賛成多数で可決した。人種や出身国などを理由とした差別的言動である「ヘイトスピーチ」を防止するための条例だ。 条例では県に対し、差別解消のため施策を講じるべきことを定めた。だが条例に野党から反対者が出たのは、条例が定義するヘイトの一種として「県民であることを理由とする不当な差別的言動」という条文が盛り込まれたためだ。いわゆる「沖縄ヘイト… 2023/04/04
視点 【視点】駐屯地開設 安全守る画期的一歩 陸上自衛隊石垣駐屯地が16日発足した。八重山の島々と住民の安心安全を守る上で画期的な一歩であり、八重山住民として高く評価する。沖縄・八重山を取り巻く国際情勢の緊迫化を考えると、ここに至る歩みは遅すぎたほどだった。 台湾に近い国境の島である与那国島では、かつて県警の駐在員がいるだけで、他国からの侵入者やテロに対応できる状況では到底なかった。 そうした状況が戦後70年放置された。国境に対する日本… 2023/03/18
視点 【視点】大震災12年 離島でも問われる覚悟 東日本大震災からきょうで12年を迎える。あの日の衝撃の記憶はいまだに生々しいが、津波や地震といった災害への警戒感は、震災直後に比べ、どこか緩みつつあるようにも感じる。悲劇の記憶をどう継承していくかが課題だ。 2011年3月11日、マグニチュード9・0の巨大地震が発生し、大津波が東北地方を襲った。死者は1万5千人を超える。 あの日、遠く離れた離島の八重山でも、津波を恐れた大勢の人たちが学校など… 2023/03/11
視点 【視点】防衛産業の活性化で成長を 岸田文雄政権は2023年度から5年間で防衛費を43兆円に増額し、国内総生産(GDP)の2%規模とする方針だ。低迷が続く日本経済だが、政府の「巨額投資」を起爆剤に防衛関連産業を活性化させ、他産業への波及効果を含め、経済全体の底上げを図るべきだ。 日本の平均賃金は先進主要7カ国(G7)では最低水準で、30年間ほとんど上昇していない。日本企業が技術革新(イノベーション)を起こせず、他の先進国や新興国… 2023/03/01
視点 【視点】「有事」の不安 現実主義で対処を 「戦争が起こるかも」という沖縄県民の不安が急激に高まっている。最近は新聞やテレビで「台湾有事」という言葉に接しない日はない。台湾は八重山と目と鼻の先にある。八重山住民が災害に備えるのと同じような気構えで、周辺有事の可能性を真剣に検討すべき時代が到来している。 安倍晋三元首相は2021年12月、「台湾有事は日本有事」と明言し、その発言は沖縄でも賛否を巻き起こした。だが、その言葉が真実だったことは… 2023/02/16
視点 【視点】イデオロギーより離島振興を 玉城デニー知事は2023年度所信表明演説で「県経済と県民生活の再生」「子ども・若者・女性支援施策の充実」「辺野古新基地建設反対・米軍基地問題」の3点を重点的に取り組む大項目として掲げた。 八重山住民にとっての関心事は離島振興だが、所信表明を聞く限り、離島については通り一遍の言及にとどまった感が否めない。特に離島医療がそうだ。 今年に入って八重山の透析医療体制の危機が大きく報道され、離島が抱え… 2023/02/15