クルーズ船キャンセル90%超 新型肺炎、観光業界苦境に

 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で、外国クルーズ船の石垣港寄港の2月の予約キャンセル率が90%を超えたことが分かった。3月も85%を上回る水準で推移している。日本国内での感染も広がって日本人も旅行を控える傾向が強まり、市内の観光業界は頭を抱えている。
 市港湾課によると、大半が中国、台湾からの船で2月は1隻ずつ入港した2日間を除き寄港予約が全て取り消された。3月も3日時点で16日までの予約がいずれもキャンセルされている。17日以降の予約も取り消しとなって全件キャンセルになる可能性がある。
 市観光文化課によると、1月に石垣市を訪れた中国人は961人。前年同期(9376人)の10分の1にとどまり、中国政府が同月に団体客の海外旅行を禁じた決定が響いている。

 クルーズ船は乗客定員が2000~3000人台の大型が多い。寄港見合わせによって乗客の島内観光で得られる収入の機会がなくなった。
 島内随一の名所、川平湾でレストランを営む「島の駅カビラガーデン」は2月、外国人観光客から入った90件の食事の予約がキャンセルされた。店員の沢田綾子さんは「日本人観光客と同じぐらい来た外国人の姿が新型肺炎の流行後、すっかり見かけなくなった」とこぼす。
 新型肺炎は国内旅行者の動向にも暗い影を落としている。市内のホテルの一つは2月中旬以降、2000人を超す宿泊キャンセルが入った。従業員は「今もキャンセルが増え続けて終息が見えず、打つ手がない」とお手上げ状態だ。
 別のホテルは日本政府がイベント自粛を促した2月26日に当日だけで100人の予約取り消しがあり、300万円の損害を抱えた。日本国内での感染拡大が追い打ちとなり、日本人にも旅行自粛ムードが広がった影響が出ている。
 ホテル関係者は「春休み期間の3月は本来書き入れ時だが、今年は厳しい。従業員の人件費が経営を圧迫する可能性がある。島内で感染者が出たら地元観光業はアウトだろう」と悲観的になっている。

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