防護服着用し搬送訓練も 海保も感染阻止に厳戒 新型コロナ

新型コロナウイルスに感染した患者の搬送を想定し、訓練する美保航空基地所属のヘリコプター乗員=3月31日、鳥取県境港市(海上保安庁提供)

 海上保安庁が巡視船や航空機で任務に当たる保安官の新型コロナウイルスの感染防止に細心の注意を払っている。緊急事態宣言発令中も、日常的な海難救助や石垣市の尖閣諸島周辺の監視活動は続く。奥島高弘長官は「船から一人でも感染者が出れば、活動ができなくなる。防止策に万全を期すよう口酸っぱく言っている」と強調する。
 「機内は狭い空間。乗員に感染しないようにしながら、いかに適切な処置をするか」。鳥取県境港市の美保航空基地では、1月から3月にかけて3回にわたり感染防止対策の訓練を実施してきた。参加した小南輝幸・上席機動救難士(40)は、普段とは違う環境で活動する難しさを指摘する。
 3月の訓練では、防護服やマスクを着用し、患者役を透明の収容袋に入れてヘリコプターに運び入れ、体温や脈拍の測定、酸素投与などがスムーズにできるかチェックした。小南さんは「医療機関や保健所との連携も大切。訓練を重ね、搬送要請にしっかり対応できるよう備えたい」と語る。

 海保によると、全職員約1万4千人のうち、船や航空機などの現場要員は約6千人。集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で陽性反応があった10人を陸上まで運ぶ活動にも投入された。3月には、韓国から横浜港に入る予定のコンテナ船長が発熱しているとの通報で、沖合に停泊させ、検疫官や検体を運んだケースもあった。これまでに海保の感染者は出ていない。
 感染拡大を踏まえ、所属ごとに救助や捜索現場からの患者搬送、外国船の立ち入り検査に備えて、マスクやゴーグルなどの適切な着脱方法を再徹底した。
 ヘリを搭載できる約6千トンの大型巡視船には60人以上が乗り、長い場合は1カ月程度洋上で過ごすことになる。西日本のある海上保安部の幹部は「船内は密閉、密集、密接の『三つの密』に近い。出港前の体調確認に加え、手洗いやうがい、せきエチケットなどを指導し、航行中も外気を取り入れ換気するなど対策を取っている」と話す。

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