【視点】中国の野心、沖縄の未来に影

 中国公船が尖閣周辺の領海で日本漁船を追尾するケースは過去に何度も起きているが、海保が公式に発表したのは初めてだ。尖閣周辺の状況が、それだけ緊迫化していることを示しているのかも知れない。
 沖縄周辺では海域だけでなく、空域も中国の攻勢にさらされている。中国機に対する航空自衛隊のスクランブル(緊急発進)は昨年度、675回となり、スクランブル全体回数の7割以上を占めた。
 尖閣周辺では海保が領海警備の第一線に立っているが、背後では海上自衛隊も昼夜を問わず監視活動を続けているはずだ。自衛隊や海保の不眠不休の活動が日本の安全を支えている。
 尖閣と同様、中国が一方的に領有権を主張する南シナ海では、中国公船が他国の漁船に体当たりして沈没させるなど、かなり荒っぽい危険行為に及んでいることが報告されている。他国の漁船を排除したあと、中国は島々の実効支配を固め、軍事基地化した。
 尖閣が中国に奪われ、基地が建設されるような事態になっては、八重山住民にとって悪夢である。
 中国の野心的な行動は、沖縄の未来に暗い影を落としている。米国はかつてソ連を「悪の帝国」と呼んだが、近い将来、沖縄県民にとって中国がそのような存在になってしまわないか、深く憂慮せざるを得ない。
 現実には、尖閣周辺では中国公船に対し海保の巡視船が実効支配を死守している。日米安保条約の抑止力は、尖閣周辺での日中対立が軍事的な衝突に発展することを防いでいる。
 事態をエスカレートさせず、国境周辺の守りをより確かなものにするためにも、石垣島への陸上自衛隊配備は必要だ。尖閣周辺で起きた今回の事態は、多くの市民に、その確信をますます深めさせたのではないか。

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