【視点】字名変更、領土意識高める意義も

 石垣市議会は22日、尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を賛成多数で可決した。尖閣の「登野城」を石垣島市街地の「登野城」と区別するための行政手続きだが、字名の変更を通じ、尖閣諸島が改めて沖縄県石垣市の行政区域であることを実感した人もいるだろう。国民の領土意識を高めることで、実効支配の強化にもつながる意義がある。
 字名変更は石垣市議会で仲間均氏が提案し、市は2017年10月に部課長級職員で組織する「尖閣諸島字名変更検討委員会」を設置。11月まで2回の会合を開き、字名を「尖閣」とするとともに、番地を「尖閣1番地」に始まる連番とすることを決めた。
 これに対し、有識者として意見を述べた長崎純心大の石井望准教授は、尖閣諸島が「登野城」とされてきた歴史的経緯を踏まえ「登野城尖閣」という字名を提言。中山市長は去る市議会6月定例会で、自らの総合的判断で変更後の字名を「登野城尖閣」に決めたと明らかにした。番地も従来通り2090番地からの連番とした。
 字名に「尖閣」を明記するとともに「登野城」を残したことは、1895年(明治28年)1月14日、尖閣諸島が石垣市に編入されて以来の歴史を後世に継承する上でも妥当だ。
 ただ、字名変更には当初から火種があった。石垣市は変更の方針を決めた17年中にも議案を市議会に上程する予定だったが、急きょ取りやめた。背景には対中関係に配慮する政府関係者の意向があったと取り沙汰されている。
 字名変更検討委でも、意見聴取された別の有識者である高良倉吉琉球大名誉教授は「現在の事務処理上の効率化のために、という点で変更を急ぐ必要はない」と字名変更に否定的な考えを示し、特に対外的な影響を懸念した。
 字名変更を受けて、中国政府は「重大な挑発」「違法かつ無効」と強く反発。日本への対抗措置も辞さない構えを示した。その言葉を裏付けるように、字名変更が市議会で決議された直後の22日午後、尖閣周辺で中国公船4隻が領海侵入した。
 字名変更に対し、中国側としては侵入という実力行使で石垣市を威嚇するとともに「石垣市がこざかしいことをしても、我々の侵入は止められないではないか」というメッセージを送った可能性が高い。
 台湾でも中国政府寄りの野党・国民党が尖閣海域での抗議活動を示唆している。だが台湾政府は、中国公船の領海侵入が石垣市の字名変更を引き起こしたとの見解を示しており、日本側に懸念を示しつつ、中国よりは抑制的な姿勢である。
 中山市長は字名変更が決まった22日のツイッターで、日台友好への期待感を改めて表明した。
 石垣市として台湾に対し、今後ともさまざまなチャンネルで交流継続への意思を伝えてほしい。さらに、今回の字名変更があくまで行政手続きであることを、丁寧に説明し続ける必要がある。
 中国は単なる行政手続きに対し、露骨な力の誇示で報復してくるような相手であり、脅し文句にいちいち反応しないことが、事態の鎮静化につながる。
 23日の「慰霊の日」では、式典などを通じ、沖縄県民の平和を希求する心が内外に発信された。平和も主権を守り抜く毅然とした姿勢が根幹にあってこそ維持できる。事なかれ主義と平和主義を混同すべきではない。

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