【視点】新型コロナ、スピード感ある対応を

 新型コロナウイルスの感染拡大で、沖縄では医療機関の逼迫(ひっぱく)が深刻化してきた。厚生労働省の集計では、7月29日までの沖縄の病床使用率は36・6%で、1週間の上昇幅は全国最大だった。8月3日現在の病床使用率は146・6%に達し、入院できない感染者は200人を超えた。
 沖縄の感染者数は7月25日からの1週間で、人口比では東京都を抜いて全国最多になり、感染状況は事実上、全国最悪とも呼べるレベルに陥っている。医療危機は、そうした事情を反映している。
 八重山でも3日現在で県立八重山病院に感染者11人が入院しており、入院患者数は既に感染症対応の9病床を上回っている。2人は一般病棟を活用して受け入れているようだが、3日、新たに判明した感染者2人は自宅療養になった。
 離島は医療体制が脆弱だけに、感染拡大による医療危機に対してはとりわけ警戒感が広がっていたが、恐れていた事態が徐々に現実化しつつあるようだ。
 病院の負担を軽減するためにも、無症状者や軽症者は早期に療養施設へ移動させる必要があるが、県の療養施設確保が進んでいない。7月29日時点の厚労省の集計では、療養施設数が全国の都道府県で唯一ゼロだった。
 石垣市の中山義隆市長は3日のツイッターで、7月28日まで感染者ゼロだった岩手県でも宿泊施設を85室確保しているとして「全都道府県で沖縄県だけがゼロ。石垣だけの手配遅れかと憤っていたが県全体のものと判明し愕然…」と県の対応を批判した。菅義偉官房長官は3日の記者会見で、報道陣から沖縄の状況に関する見解を問われ「宿泊療養施設の確保について必要な経費は、全額を政府から提供する仕組みになっている。沖縄県の宿泊施設の確保が十分でないことについて、政府から沖縄県に何回となく『確保すべき』と促していると報告を受けている」と苦言を呈した。
 県は8月から開始予定だった那覇市内のホテル利用を7月末に前倒しし、新たに60床を確保した。4日には那覇市内で別のホテルが運用開始し、近く宮古、八重山でもホテルを確保する方向で準備を進めている。
 玉城デニー知事は菅氏の発言に対し「7月末までに(宿泊療養施設を)そろえるよう話し合いを進めてきた」(4日付沖縄タイムス)と述べ、国の方針に沿って取り組みを進めていると反論した。
 だが、数字を見れば宿泊施設の確保が後手に回っているのは明らかだ。県は「第1波」の経験を生かし、独自の緊急事態宣言を実効性あるものにする必要がある。

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