沖縄発の外国人材のマッチング リゾーツ琉球「LIP3」始動
外国人材紹介事業LIP3を進める統括責任者の正司雄也氏(左)と営業責任者の仲里小雪姫氏(右)=18日、リゾーツ琉球株式会社本社(豊見城市)
リゾーツ琉球株式会社(兼城賢成代表取締役社長、本社・沖縄県豊見城市)は、今年8月から外国人材紹介事業「LIP3」(Link=繋ぐ、International=国際、Peace=安心)を開始した。 深刻化する人材不足に直面する沖縄の産業、とりわけ宿泊・観光分野では、離島を含めて人材流出が止まらず、倒産件数も増加傾向にある。リゾーツ琉球は、これまでホテル事業で蓄積した知見を軸に、外国人材の定着支援まで含めたフルサポート「人的パートナーシップモデル」で課題解決を図る。
国内では労働人口の減少と若年層の離職率の高さが続き、企業は採用投資を回収できないリスクが高まっている。一方、目的を持って来日する外国人材は動機が明確で定着率が高い点が魅力だ。
国内の日本語学校には、在籍しながら接客業などで実地の日本語を身に付ける学生も多い。同社は資格より「話せるか」を重視し、即戦力につながるマッチングを行っている。また特定技能制度は最長5年働け、2号取得で安定した就労が見込める。同社にはすでに県内5社から15人分の採用申し込みがあり、最短で来年2月の受け入れを予定する。
沖縄、特に石垣島ではリゾートバイトの減少や住宅不足、家賃高騰が重なり、国内人材の確保が難しい。外国人材はシェアハウスなど柔軟な住まい方ができ、企業の受け入れ負担も抑えられる利点がある。
同社は登録支援機関として法的支援も担うが、全国1万超の登録支援機関のうち、実際に機能しているのは1割程度とされる。外国人材の悩みは文化やライフスタイルの違いから問題が深刻化するケースも多い。LIP3グローバル人材支援室統括責任者の正司雄也氏は「支援の質次第で、働く環境は大きく変わる」と強調する。
同社は、面接調整、在留資格の手続き、事前研修、住居の斡旋まで一貫して支援。企業・個人双方の負担軽減とミスマッチの防止を徹底し、定着率向上につなげる。
これまでホテル運営で培った現場理解と、国内外のネットワークを生かし、観光業に限らず食料品製造やITなど多分野へのマッチングにも踏み出している。幅広いルートから国それぞれの長所を理解し、企業のニーズに合った人材を紹介できるのも強みだ。
すでに石垣島では宿泊業1社4人で受け入れが決定し、他にも複数社から問い合わせが寄せられている。正司氏は「外国人採用に不安を感じる事業者も多い。しかし、日本の人手不足は避けられず、外国人材なしでは産業が成り立たなくなる」と呼びかける。リゾーツ琉球は、沖縄発の人材支援モデルとして、企業の人材投資の不安と外国人材の孤立という二つのリスクを同時に解消しようとしている。