【視点】存在感発揮する日本外交

 沖縄の米軍基地整理縮小も、米国との信頼関係がなければ円滑には進まない。米軍普天間飛行場問題も、日米の歴代政権が繰り返し辺野古移設を確認しており、日米同盟の維持という広い視野に立っても「ちゃぶ台返し」は困難だ。
 中国は日米同盟が堅固なのを見て、日本に対する融和姿勢に転じた。ただ尖閣諸島問題では一歩も退かない構えで、尖閣周辺海域では、中国公船が過去最長の連続航行を続けている。しかし日本は、現時点で実効支配のさらなる強化に向けた行動を起こせずにいる。
 辺野古にせよ、尖閣にせよ、現在の日本の国力では、米中に対しある程度、低姿勢にならざるを得ない。安倍外交は、そうした厳しい現実認識の上に成り立っているのかも知れない。
 ただ日本としては、この現状にいつまでも甘んじるべきではなく、安倍外交を、日本再生に向けた一つの通過点として捉えなくてはならない。その成果を踏まえた上で、21世紀の新たな大戦略を練り直すべきだ。
 一方、基地問題で安倍政権と対峙する玉城デニー県政は、戦略不在の状況に陥っている。
 玉城知事は政府に対し、基地問題で日米に加え、沖縄も含めた3者協議を行うよう要求した。沖縄に独立した外交権を与えるよう求めているに等しく、日本の交渉力をいたずらに弱めるだけの提案だ。
 確たる戦略もなく無謀な提案だけ繰り返しても、成果は得られない。このままでは、県政に果たして基地問題の当事者能力があるのかさえ疑われてしまう。

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