視点 【視点】民主主義破壊する卑劣なテロ 民主主義を破壊する卑劣なテロ事件が起きた。奈良県で参院選の街頭演説中だった安倍晋三元首相が銃撃され、死亡した。首相経験者が殺害される事件は戦後初めてだ。安倍氏は歴代最長政権を率い、国際的にも存在感を示した政治家だっただけに、国内だけでなく世界に衝撃が広がっている。 奈良市に住む41歳の男が、演説中の安倍氏に背後から近づき発砲した。安倍氏は現場で救命措置を受け、直ちに病院に運ばれたが、数時間後に… 2022/07/09
視点 【視点】運命を分けた沖縄と香港 香港が英国から中国に返還され、1日で25年となった。この間、中国政府の独裁的支配が強まり、民主主義勢力は壊滅した。現地では習近平国家主席が記念式典に出席するなど、官製の祝賀ムードが盛り上がっているようだだ。 奇しくも1カ月半ほど前には、米国統治下にあった沖縄が日本に復帰して50年を迎えた。沖縄と香港は共に本土から切り離された歴史を持ち、似たような境遇にあったと言える。だが、祖国への返還(復帰)後に… 2022/07/02
視点 【視点】参院選 離島振興の実現を 参院選が公示され、沖縄選挙区には5人が立候補した。事実上、普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力の現職、伊波洋一氏(70)と、元総務官僚で自民、公明が擁立した古謝玄太氏(38)の一騎打ちである。 沖縄の選挙イヤーの今年、県内各市で市長選が行われており、自公が4連勝している。参院選は、自公がこの勢いを維持するか、「オール沖縄」勢力が巻き返すかが焦点。9月の知事選の行方を占う重… 2022/06/25
視点 【視点】慰霊の日 厳しさ増す国際環境 ロシアのウクライナ侵攻で国際秩序が大きく揺らぐ中、沖縄は戦後77年の「慰霊の日」を迎えた。戦火に倒れた先人たちが今、再び何かを語ることができるなら、それは「平和な沖縄を永久に」という願いだろう。横暴な振る舞いを繰り返す他国にどう立ち向かい、平和を次世代へつないでいくのか。沖縄に突き付けられた課題は重い。 悲惨な沖縄戦を経験した県民は毎年「慰霊の日」とその前後、鎮魂への思いを新たにしてきた。共通の願… 2022/06/23
視点 【視点】離島住民直撃する物価高 物価高が家計を直撃し始めている。現在、沖縄のレギュラーガソリン価格は長崎県、大分県に次ぐ高い水準となっており、移動コストがかかる離島住民の経済負担が増している。帝国データバンクによると、食品も年内に1万品目超が値上げされる見通しだ。 八重山住民の航空運賃、船賃は一括交付金で軽減されているが、原油価格の上昇もあって高止まりしている。沖縄のレギュラーガソリン小売価格は先月30日現在、全国平均が16… 2022/06/04
視点 【視点】台湾侵攻は無謀な賭けだ 東京で岸田文雄首相との首脳会談を終えたバイデン米大統領は共同記者会見で、中国が台湾を攻撃した場合の軍事的関与を明言した。台湾有事になれば沖縄や八重山も危機にさらされる。米国が台湾防衛に積極的な姿勢を示したことを歓迎したい。 一部ではバイデン氏の発言を「失言」とみなす声もある。米政権幹部は、中国が軍事侵攻した場合の対処を明確にしない「あいまい戦略」は変えていないとの認識を示す。 記者会見でのや… 2022/05/25
視点 【視点】沖縄周辺で加速する危機 中国空母「遼寧」などの艦隊が沖縄周辺を10日以上航行し、艦載戦闘機やヘリの発着艦を繰り返している。台湾有事を想定した訓練とも言われるが、一時は石垣島の南約150㌔の距離まで接近した。台湾だけでなく沖縄への軍事的威圧と受け止めざるを得ない。 時を同じくして石垣島北方の尖閣諸島周辺では、中国海警局の艦船が石垣島から出漁した漁船を30時間以上も追尾し、漁を妨害するような動きを見せた。沖縄の復帰記念日… 2022/05/17
視点 【視点】復帰50年「思い」を次世代に 宮古、八重山で民放のテレビ放送が視聴できるようになったのは1993年で、たかだか30年ほど前のことだ。本土と沖縄本島だけでなく、沖縄本島と離島の間にも厳然とした格差が存在していた。 しかし、その後の島々の発展と格差是正の速度は凄まじい。現在では各離島のほとんどのエリアまでインターネットが普及し、本島はおろか本土との情報格差もなくなった。 新型コロナウイルスの影響もあるが、リモートワークが盛ん… 2022/05/14
視点 【視点】独立論 一足飛びの理想郷はない 沖縄開発庁長官を務めた県出身の政治家、上原康助氏(1932~2017)が沖縄独立をテーマにした草稿を書き残していたことが話題になっている。多くの県民にとって沖縄独立論は机上の空論に過ぎないが、沖縄の日本復帰50年の節目に、沖縄独立論を改めて考え直す必要があるかも知れない。 上原氏の草稿が執筆されたのは95年の米兵による少女暴行事件が起きたころだという。 反基地ムードの高まりを背景に、独立を宣… 2022/05/12
視点 【視点】「きれいごと」に終始した建議書 あまりにも「きれいごと」に終始した内容ではないか。沖縄の日本復帰50年に当たり、玉城デニー知事が7日に公表した「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」。その安全保障に関する部分である。 県が建議書を作成するのは復帰直前の1971年、琉球政府(当時)の屋良朝苗主席が日本政府に提出した「復帰措置に関する建議書」以来だ。 復帰50年の節目に沖縄の歴史や現在の課題を総まとめし、新たな将来像を展… 2022/05/10
視点 【視点】復帰50年で迎える憲法記念日 75年目の憲法記念日を迎えた。沖縄にとっては日本復帰50年の節目で、改めて憲法を考える機会となる。 苛烈な沖縄戦と27年間の米軍統治を経験した県民が「平和憲法のもとへ復帰したい」と強く願ったことは現在も語り継がれている。県内では長く憲法、とりわけ戦争放棄をうたった9条を絶対視する風潮が強かったことは事実だ。 しかし冷戦後、中国が軍事大国として急速に台頭し、ほかならぬ沖縄周辺で領土的野心をあらわにす… 2022/05/03
視点 【視点】辺野古 深まる対立懸念 復帰50年という重要な節目であるにもかかわらず、米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る県と国の対立は深まる一方だ。 斉藤鉄夫国土交通相は、移設に向けた防衛省の設計変更申請を5月16日までに承認するよう、県に是正を指示した。玉城デニー知事は対抗措置に出ると見られており、県と国は新たな法廷闘争に突入する可能性が大きくなった。 沖縄の未来にとって望ましい状況では到底ない。本来であれば、県は辺野古反対一辺倒の… 2022/04/30
視点 【視点】島守る自衛官の確保を 「石垣市民防災の日」の24日、市主催の大規模な防災訓練が行われ、陸上自衛隊第15旅団も参加した。来年3月までには市内に陸上自衛隊駐屯地が開設される。今後、島内で防災活動を展開する上で、行政機関と自衛隊の連携はより重要になってくる。 その時に備え、地元に愛着を持つ地元出身の自衛官を育成することは重要な課題だ。自衛隊沖縄地方協力本部によると、在沖部隊で県出身者の割合は約21%にとどまっている。宮崎… 2022/04/26
視点 【視点】変革への情熱が生んだ新町長 竹富町民は、政治経験がない40代の元町職員に町政再生のかじ取りを託した。 官製談合防止法違反や加重収賄で逮捕、起訴された西大舛高旬前町長の辞職に伴う町長選が18日開票され、前泊正人氏(44)が元町議那根操氏(70)を557票の大差で破り、初当選した。 政治経験がない人物が町長になったことは過去にもあるが、前泊氏は44歳という異例の若さで、出馬前まで知名度はほとんどなかった。 竹富町に限らず… 2022/04/19
視点 【視点】離島生まれの女性作曲家がいた 宮古島出身の女性作曲家、金井喜久子さん(1906~86)の功績を後世に伝えようと「金井喜久子プロジェクト実行委員会」が設立され、3月には宜野湾市で設立記念コンサートが開かれた。 金井さんは女性の社会的地位が低かった時代、果敢に音楽の道を選び、日本人女性として初の交響曲を作曲したとされる。そのような女性が沖縄出身、しかも離島生まれというのは離島住民にとって誇りだ。復帰50年の節目に、金井さんの仕… 2022/04/12
視点 【視点】抑止力の必要性改めて示した 戦場の凄惨さが改めて浮き彫りになった。ウクライナ当局は、ロシア軍が撤退したキーウ(キエフ)州で市民400人以上の遺体を確認。市民の殺害、レイプ、拷問、遺体の切断など、ロシア軍による数々の残虐行為を告発した。 これを単にロシア軍の「残忍さの表れ」と見るのは一面的だ。国や時代を問わず、こうした狂気が日常化する最悪の行為が戦争なのだ。 いったん戦場となれば、敵であろうが味方であろうが、国際ルールを… 2022/04/06
視点 【視点】市民は安定と経済を選択 市民は安定的な市政運営と、経済回復への期待を託したと見ていいだろう。任期満了に伴う石垣市長選は2月27日投開票され、現職で自民、公明の推薦を受けた中山義隆氏が4選を果たした。 中山氏が選挙戦で最優先に訴えたのは「脱新型コロナウイルス」と「景気回復」だった。新型コロナの影響で観光客が激減し、多くの市民が経済的苦境に陥っており、選挙戦で中山氏の訴えが市民の心に届きやすい状況だった。 中山氏は「3… 2022/03/01
視点 【視点】[石垣市長選]安全保障も論議活発 石垣市は尖閣諸島を行政区域に抱え、陸上自衛隊配備計画も進められており、日本の安全保障に関わる重要な自治体と位置付けられている。市長選に出馬した新人の市議、砥板芳行氏と現職の中山義隆氏は、安全保障問題に関して対照的な政策を打ち出した。 陸上自衛隊駐屯地は島中央部の平得大俣地区で来春にも開設される見通しだ。今選挙では、もはや自衛隊配備の是非そのものは争点になっていない。しかし砥板氏は、配備の賛否を… 2022/02/24
視点 【視点】ウクライナ情勢、尖閣にも影響 ロシアのプーチン大統領は、親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部2地域の独立を承認し、平和維持を名目に軍を派遣する考えを示した。ウクライナの主権を無視した侵略行為であり、実力行使で国境線を変更する試みに等しい。国際社会は蛮行として強く非難すべきだ。 ウクライナ問題が日本、とりわけ沖縄にとって他人事でないのは、日本も軍事大国化した中国との間で尖閣諸島問題を抱えているからだ。 ウクライナ… 2022/02/23
視点 【視点】町長逮捕 公共事業の透明性確保を 竹富町の西大舛高旬町長が官製談合防止法違反などの容疑で逮捕された。現職の首長逮捕は八重山では前例のない異常事態である。 容疑は公共事業の発注に伴う汚職であり、住民の行政に対する信頼が大きく揺らいでいる。今後の捜査の推移を見守る必要もあるが、自治体関係者は公共事業の透明性確保に向け、改めて自らを正す必要がある。 竹富町の島々には昭和50年代に海底送水管が敷設されており、現在、ちょうど更新時期を迎えて… 2022/02/15