【視点】現実直視した負担軽減策を

 米大統領選は共和党トランプ大統領と民主党バイデン元副大統領が大接戦を繰り広げたが、僅差の州を残し、バイデン氏優位の流れがほぼ固まった。ただトランプ氏も「明らかに不正が行われた」などと主張して譲らず、裁判闘争にもつれ込む可能性も高まっている。
 気になるのは日米メディアの報道だ。日本の情報番組などでは、敗北を認めないトランプ氏に対し、コメンテーターが「泣き言を言っている」「往生際が悪い」「むちゃくちゃだ」などと非難を浴びせた。米国のニュースキャスターも同じような論調だ。
 しかし選挙は候補者にとって真剣勝負だ。ひと握りの票差で勝敗が決した州も多い。不正の可能性を指摘する候補者がいる以上、その主張を正面から受け止め、当否を徹底的に検証すべきなのは当然だ。相手がトランプ氏だからと言って頭から笑い者にするような態度は、中立であるべきメディアとして疑問がある。
 日本メディアの場合、外国の選挙報道だから許されるのかも知れないが、そうした一方的な姿勢は、いずれ国内の選挙報道にも反映されてくる懸念がある。そうなれば選挙の公正さに重大な影響を及ぼす。メディア関係者は自省すべきだ。
 米大統領選は、米軍基地を抱える沖縄でも大きな関心を持って受け止められている。玉城デニー知事は6日の記者会見で、次期大統領に対し「沖縄の基地負担軽減に向けて日米両政府だけで物事を進めるのではなく、当事者の沖縄県を加えた上で現実的な議論をさせてほしい」と求めた。
 基地負担軽減に関し、知事は従来から、日米両政府に沖縄を加えた「SACWО(サコワ)」という新たな協議の場新設を要望してきた。この場でも改めて自身の見解を繰り返した形だ。
 ただ、仮に3者協議が実現しても、米国の立場になれば交渉相手が日本政府なのか、沖縄なのか不明だ。大事な場で沖縄と日本政府の内輪もめが露呈すれば、かえって不信感を抱かれかねない。3者協議では日本政府、沖縄双方の交渉力が削がれるだけだろう。
 どうしても県が米国と直接交渉したいなら、米軍基地問題だけでなく、もう一つの懸念事項である尖閣諸島問題にも触れるべきだ。
 米国は尖閣問題に原則不介入の立場だが、最近、特に中国の攻勢が激化している。沖縄の漁業者を守るためにも、米国には対中圧力を強化してほしい。それは長期的には米国の国益にも一致する。知事が県民の切実な声を訴えれば、米国の心を揺り動かせるかも知れない。
 だが県が、尖閣問題を米国に要望しようとしている形跡は全くない。いずれにせよ基地負担軽減だけを訴えたいのなら、日本政府に窓口を一本化して米国を動かすことが現実的で効率的なやり方だ。
 玉城県政は米軍普天間飛行場の辺野古移設阻止を政策の柱に据えているが、次期大統領が誰であっても、移設推進の日米合意が揺らぐ見込みはない。
 それは米国の歴代大統領が、民主党であれ共和党であれ、一貫して日米合意を堅持してきたことからも明らかだ。県としてもそのことを前提に、現実的な基地負担軽減策を検討する必要がある。

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