【視点】暗いニュース続きの沖縄、打開策は

 米軍普天間飛行場の移設反対を掲げる玉城デニー知事は県民の高い支持を誇っているが、これまでは、好調な観光に支えられた景気拡大が人気を下支えしていた面もある。新型コロナウイルスの影響で経済が下降すれば、玉城知事は政治的に難しい局面に立たされる可能性がある。
 玉城知事の一丁目一番地である辺野古移設反対の公約も、実現にはほど遠い状況だ。辺野古沿岸の埋め立て工事は着々と進む。県は軟弱地盤の改良に向けた国の設計変更申請を承認しない方針だが、そうなればまた新たな裁判闘争が始まり、国との関係は今以上に泥沼化してしまう。
 「八方塞(ふさ)がり」という言葉を連想してしまう県政の現状だが、受難の始まりは昨年10月末の歴史的な首里城炎上だったのかも知れない。多くの県民が打ちひしがれた悲劇だったが、出火原因の特定もできないまま事実上、捜査は終結した。
 今後は再建や火災の再発防止に向けた取り組みが進むが、これで、けじめをつけられない状態で前へ進まざるを得ないということである。
 新型コロナウイルスの感染者は2月20日以降、県内では発生していない。感染者の増加ペースを低いままどう維持し、感染拡大を抑え込むのか。予想される経済危機にどう対処するのか。豚熱の終息や牛のブランドの信頼回復に向けた取り組みをどこまで進められるのか。
 基地負担軽減を目に見える形で進めつつ、政府との関係をどう改善するのか。
 さまざまな場所で火の手が回って身動きが取れなくなる前に、迅速な各個撃破で打開策を見出す政治が求められている。
 6月には玉城知事の中間審判である県議選がある。現在の沖縄の苦境は多くが天災のようなものではあるが、知事の危機管理を含めた統治能力全般が試されている。

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