【視点】沖縄戦開始75年、特攻の歴史継承を

 きょう26日で沖縄戦の開始から75年になる。沖縄県のホームページでは「沖縄戦は、アメリカ軍が1945(昭和20)年3月26日、那覇市の西にある慶良間諸島に上陸して始まりました」と記されている。
 内外の多くのメディアも、沖縄戦の開始について同様の表現を採用する。だが、本当にこのような記述でいいのだろうか。
 八重山の私たちは、米軍の慶良間諸島上陸直前、石垣島を出撃した伊舍堂用久大尉(戦死後、中佐に特進)ら誠第十七飛行隊が米艦隊に特攻を敢行し、沖縄戦の火ぶたを切ったことを知っている。

 伊舍堂大尉は石垣島出身であり、当時の軍が隊長をあえて故郷から飛び立たせたことには大きな意味がある。「自分の故郷は自分で守る」という思いを体現した特攻でもあった。
 沖縄戦について語るなら「沖縄戦は伊舍堂隊の特攻によって始まった」と記すべきであり、米軍の上陸を沖縄戦の始まりとする記述は、史実を正しく伝えているとは言えない。従来の多くの公式資料やメディアの報道は、この点を踏まえて早期に是正されるべきではないか。
 従来、沖縄戦といえば沖縄本島の地上戦を中心に語られることが多く、例えば八重山の戦争マラリアのような離島の戦争被害は、二の次、三の次のエピソードとして扱われてきた。
 だが、石垣島からの特攻を沖縄戦の開始ととらえることで、離島の八重山も、沖縄戦を語る上で重要な位置づけを与えられるようになる。本島も離島も同様に重要な戦略拠点だったことが浮かび上がり、従来の「沖縄本島中心史観」が転換されるきっかけになるかも知れない。

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