【視点】世界の潮流ではない民主主義

 米国自身も、トランプ氏が11月に大統領選を控える。米メディアは、民主党候補となるバイデン氏が世論調査でリードを広げていると伝えている。
 バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権は、中国との対話を重視していた。米国が政権交代した場合、対中融和路線に転換する可能性は小さくない。アジアと距離が遠い欧州諸国は、米国が主導する「対中包囲網」にはもともと消極的だ。つまり中国は大統領選まで米国の圧力をやり過ごせば、先が見えてきそうなのである。
 中国の戦略は明白だ。香港で着々と支配体制を固め、台湾を圧迫し、南シナ海の実効支配を強化し、さらには沖縄の尖閣諸島周辺で侵入を繰り返して、それぞれ既成事実を積み重ねる。米国を除き、関係諸国は基本的に無力であり、時間は中国に味方している。香港、台湾、南シナ海、尖閣は、中長期的には、すべて手中にできる計算だ。
 沖縄も尖閣問題に対する県民の関心は低く、沖縄を巡る国際情勢は県議選でもあまり話題になっていない。県民の問題意識が薄い以上、中国公船の漁船追尾事件なども、うやむやに終わる可能性が高い。
 日本には表現の自由や報道の自由があり、民主主義は空気や水のように当然視されている。だが世界を見渡すと、民主主義を享受できているのは欧米の先進国を中心とした一部の諸国に過ぎない。
 民主主義は天から与えられるものではなく、国民が日々の努力で勝ち取り、さらには世界へ広げる努力を続けなくてはならないものだ。
 日本は、このまま民主主義の退潮を座視するほかないのか。香港の将来は、私たちにとっても大きな岐路になりそうだ。

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