【視点】「ウィズコロナ」で観光再起動

 新型コロナウイルスの新規感染者は、現在でも連日のように確認されている。しかし、ある程度の感染者発生はやむを得ないものと受け止め、重症化しやすい人を守る取り組みに重点をシフトする「ウィズコロナ」(コロナと共に)という考え方も定着しつつある。
 県が独自に出した緊急事態宣言は5日に解除された。これを受け玉城デニー知事は今月上旬、観光客向けのメッセージ動画を公開した。
 この中では「皆様に安全安心を感じてお迎えできるよう、引き続き感染防止対策に努めて、観光業界一丸となって、うとぅいむち、おもてなしの心でお迎えいたします」と呼び掛けた。新型コロナウイルスの影響で壊滅状態に陥った沖縄観光の「再起動」が「ウィズコロナ」のもと始まったと言える。
 観光地の側としては、県内や島内で住民や観光客が感染することがないよう、店舗などでの「3密」防止や、こまめな消毒など感染防止対策を徹底する。
 観光客に対しては、来県・来島前からの体調管理や、マスク着用の励行を要請する。
 受け入れる側も来る側も、感染防止対策を強く意識する新しい観光の形だ。
 19日からの4連休には全国の観光地で人出が回復し、八重山でも再び各地でにぎわいが見られるようになった。
 10月からは政府の観光支援策「GO TОトラベルキャンペーン」に東京発着の旅行商品が追加されることもあり、今後、沖縄観光はある程度の巻き返しが期待される。キャンセルが相次いでいる修学旅行なども再開の可能性がありそうだ。
 だが、冬場に向けて沖縄・八重山観光は再び真価を問われる局面になる。観光の活発化による「第3波」到来の懸念が消えないからだ。新型コロナウイルスの症状によく似たインフルエンザが流行する季節にも当たるため、観光業界や医療現場が混乱する恐れがある。新型コロナウイルスに関して蓄積してきた知識や経験を生かし、冷静な対処が求められる。
 春や夏に比べ、冬場の沖縄は観光の目玉に乏しく、例年、観光客は減少傾向だ。感染防止に配慮しながら、いかに誘客活動を展開するかも課題になる。
 休止している海外からの観光客受け入れも、少しずつ再開時期を見定めなくてはならない。政府は来月初めにも、水際対策を大幅に緩和し、全世界からの入国を条件付きで再開する方向で調整に入った。
 焦点は、沖縄の観光客数を押し上げてきた台湾、中国からのクルーズ船運航の再開時期だ。
 石垣港では大型クルーズ船に対応した岸壁整備が進むなど、八重山の観光戦略に受け入れは欠かせない。現在は再開のめどは立っていないが、いずれ受け入れが始まることを想定し、感染防止対策や、感染者が発生した場合の対応などを改めて検討する必要がある。
 新型コロナウイルスは国内や県内では沈静化の方向のようだが、全世界ではまだ猛威を振るっている。
 米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、感染者数は日現在、米国の689万人を筆頭に、インド564万人、ブラジル459万人、ロシア111万人などと続き、世界全体で3161万人に達した。死者数も97万人で、100万人台が目前の状況だ。
 感染拡大のペースが衰えない場合、心配されるのは来夏の東京五輪だ。
 共同通信のアンケートでは、都道府県知事や道府県庁所在地市長93人のうち55人が「開催すべき」としたが、玉城知事ら3人は「再延期」を選んだ。
 東京五輪で予想される入国ラッシュは、海外からの段階的な観光客受け入れ緩和や、国内での移動再開などとはレベルが異なる大きな人の流れを生み出す。政府には医療体制が脆弱な地方の事情も踏まえながら、開催の是非を慎重に判断してほしい。

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