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【視点】新空母 沖縄にも重大な脅威

2025/11/11

中国が3隻目の空母「福建」を就役させた。台湾や沖縄に近い福建省にちなんだネーミングは、台湾侵攻への決意を表明したとの観測もある。他の空母を使った中国の軍事訓練は沖縄周辺でも常態化しており、新たな空母の就役は、最前線となる沖縄県民にとっても重大な脅威である。

中国の空母は「遼寧」「山東」が既に運用されている。空母は多数の戦闘機を搭載し、広域にわたって軍事作戦を展開可能とする装備で、本質的に自国防衛の範囲を踏み越えており、他国を攻撃するための装備と見ることができる。
それを3隻も運用するというのは、軍事力をテコに覇権を拡大しようとする中国政府の野心を露骨に表すものだ。

抑止力を強化するため、沖縄では自衛隊配備が拡充されておいる。八重山、宮古では台湾有事を想定した住民避難計画の具体化も急ピッチで進んでいる。

自衛隊配備で住民の不安が高まっているとの意見があるが、私たちが懸念しているのは有事に備えた日本側の防衛力増強ではなく、その元凶である中国の異様な軍拡だ。
台湾有事もさることながら、石垣市の尖閣諸島周辺では中国海警局の船が常駐しており、日本の漁業者が思うように出漁できない状況が10年以上も続いている。
海警局船は機関砲で軍艦並みに武装しており、尖閣周辺での航行も、日本に対する軍事力を伴う威嚇の一種だ。

中国とは対話による平和外交を基軸に付き合っていかなくてはならないが、政府としては台湾や尖閣周辺での軍事力行使は決して許さないと、毅然とした姿勢を示す必要がある。

沖縄と中国は古くから特別な交流がある。ところが中国は沖縄周辺での軍事訓練活発化に加え、国連でも沖縄県民を「先住民」と主張し、日本本土との切り離しを企図するような言動を見せている。これでは交流の積み重ねも台無しになると言わざるを得ない。

高市早苗首相は国会答弁で台湾有事について、集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」に該当する可能性があるとの見解を示した。県民が住民避難計画の当事者であることを考えると、首相の答弁は沖縄の立場から見ても妥当だ。

しかしここへ来て、中国側から首相に対し、耳を疑うような暴言が飛び出した。
薛剣(せつけん)・駐大阪総領事がX(旧ツイッター)で首相の答弁に関し「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか」と投稿したのだ。

投稿は削除されたが、日本政府が直ちに抗議したのは当然だ。
この人物は以前から過激な発言で知られているが、中国政府は問題視せず現職にとどまらせている。今回の暴言が中国政府の本音であるというなら、常軌を逸しているというほかない。