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「沖縄が世界平和に貢献」 万国津梁会議が知事に提言

2025/11/14

提言書を渡す村田委員長(左から2番目)と玉城知事=13日午後、県庁

沖縄県の有識者会議「恒久平和に貢献する万国津梁会議」の村田俊一委員長は13日、県庁を訪れ、戦後80年の節目に県が策定を目指す「恒久平和に貢献する沖縄ビジョン(仮称)」の方向性を示した提言を玉城デニー知事に渡した。沖縄が世界の平和構築に関わるため、平和研究機構や平和基金(仮称)の創設なども提言した。

沖縄の戦争体験や基地負担の現状を踏まえ、「万国津梁(世界の架け橋)」の精神を現代的に再解釈。人間の安全保障や多文化共生を軸に据えた。

会議は有識者の委員7人で構成。2024年12月から今年9月の4回にわたり開催され、戦争体験の継承を担う「記憶の懸け橋」、国際交流や人材育成を進める「人の懸け橋」、調査研究や情報発信を担う「知の懸け橋」の三つの方向性を掲げた。

柱の一つとして、平和行政の中核となる研究機構の設立と、それを支える平和基金の創設を提言。教育現場での平和学習の深化や、若者が平和構築に関わる機会の拡充なども盛り込んでいる。

村田委員長は「提言を踏まえて沖縄県にとって最適なビジョンが策定され、県民一丸となって平和行政が推進されることを期待する」と述べた。
提言書の意義について「国家主義が支配的だった20世紀から、多様性と共存の時代へと移る中で、沖縄の経験を次の世代へどう生かすかが問われている」と期待した。

玉城知事は「沖縄だからこそ恒久平和に向けた取り組みを進める責任があるという方向性を示してもらった」と感謝。「平和研究機構の創設は、沖縄がアジア太平洋地域をはじめ世界の平和に貢献するための重要な基盤になる。ウチナーンチュのアイデンティティーに根ざし、通ずる取り組みだ」と評価した。

県は今後、恒久平和に貢献する沖縄ビジョンの策定を進め、次年度以降、平和研究機構や平和基金の創設に向けた委員会を設ける予定。