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収穫に感謝、踊り奉納 西表祖納・干立「節祭」 オホホも参上 重要無形民俗文化財

2025/11/28

干立では、ミリク行列にオホホが乱入。会場は笑いに包まれた=27日午後、干立御嶽

国の重要無形民俗文化財に指定されている西表島祖納・干立の「節祭(シィチィ)」のユークイ(世乞い)が27日、両集落で行われた。農作物の収穫を感謝し来年の豊作を祈願する正月儀礼で、神を迎えるための舟漕ぎや、ヤフヌティ(櫂踊)、男性たちの棒術や女性によるアンガー踊りなどが奉納された。干立では異国人がルーツとも言われるオホホが登場した。

「節祭」は、約500年ほど前から伝承されている五穀豊穣と住民の無病息災を願う伝統行事。例年、旧暦10月前後の己亥(つちのとい)の日から3日間行われる。国の文化財指定は1991年。27日は2日目のユークイ(世乞い)で、神を迎える神事が行われた。

干立では公民館前に立っていた旗頭を前の浜に移動。続いて住民が民俗衣装に身を包み入場。浜に並びエーク(櫂)を持って舞う「ヤフヌティ」を披露後、「パーリャ」と呼ばれる舟漕ぎが行われた。勇壮に漕いで沖を目指す男性たちを、浜に残った女性たちが「サーサーサー」と声をかけ、鼓舞した。

干立では午後1時から御嶽前で式典や祝宴、奉納芸能が行われた。狂言やアンガー踊り、棒術に続いて、ミリク行列が登場し練り歩くと、会場にオホホが乱入した。
ブーツを履き、整った高い鼻は、流れ着いた異国人がモデルと言われるゆえん。「オーホホホホホ」と意味不明な奇声を上げ、行列を遮り、執拗に女性たちを手招き。腰を振る軽妙な動きを続け、行列が去った後も一人残り、来場者に「一億円」と書かれた札束をばらまくと、会場から笑いが起こった。

式典で、干立公民館の伊谷玄館長は「西表では台風や干ばつ、マラリアに苦しめられた。自然を神として敬い、豊かな暮らしを願い感謝する習慣が生まれた」と紹介。「芸能は今日まで積み上げてきた歴史の結晶」と胸を張った。

祝辞で山城秀史副町長は「島が誇る貴重な伝統行事」と評価。「文化遺産を守り、次世代に繋げようとする取り組みに敬意を表する」とたたえた。

祖納では、住民が公民館を順番に出発し、前泊浜まで移動。正午ごろ、ミリク行列に続いて、全身を黒布で覆ったフダチミを先頭に、アンガー行列が会場に入場した。ミリクが見守る中、奉納舞踊などが行われた。