視点 【視点】今年も前進しない改憲論議 米軍基地問題の根本的な問題は何か。そう問い直すと、日本の安全保障を事実上、米国に委ねているという国のあり方に行きつく。 日本がそのような国になっているのは、ほかならぬ憲法にこう書いてあるからだ。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」。 9条に定められた交戦権の否認、戦力の不保持もある。自国で軍隊を持てない以上、他国に守ってもらうほかない。 だ… 2025/05/04
視点 【視点】「オール沖縄」存在意義失われた 「オール沖縄」勢力の連敗ドミノが止まらない。 うるま市長選は自公が推す現職、中村正人氏が玉城デニー知事に支援された元県議、照屋大河氏らを破って再選を決めた。県内11市で「オール沖縄」勢力の市長がゼロという状況は今後も続く。 「オール沖縄」勢力は県民の信を失っている。さらに言えば「オール沖縄」勢力の存在意義そのものが失われている。玉城県政はこの現状を真正面から受け止め、基地反対に偏重するのでは… 2025/04/29
視点 【視点】「方言文化」継承の意義 方言を使った者に対する罰として首にかけられる「方言札」が、明治から沖縄の学校現場で使われていたことはよく知られている。方言撲滅運動は、沖縄と日本本土の一体化に向けた政策として進められた。 そんな「弾圧」にもかかわらず、方言は戦後までしぶとく生き残った。 ところが皮肉なことに、権力の束縛から解き放たれ、自由にどんな言葉でも話せるようになった現代、方言は私たちの日常生活から姿を消そうとしている。… 2025/04/24
視点 【視点】佐賀県知事訪問 町民の励みに 台湾有事を念頭に、政府によって与那国町民の避難先に想定されている佐賀県の山口祥義知事が同町を初訪問した。与那国町は台湾に近い日本最西端の国境の島で、住民は他の自治体にもまして台湾有事の可能性を懸念している。避難先の首長が現地を訪れたのは、不安を抱く町民に寄り添う姿勢を示すもので、町民には励みになる。有意義な訪問だ。 与那国町の糸数健一町長は昨年9月17日、町民受け入れに感謝の意を示すために佐賀… 2025/04/09
視点 【視点】「自国第一主義」の潮流 トランプ米政権が全世界からの輸入品に課す「相互関税」が発動された。当面は一律10%だが、米国は9日には、貿易赤字の大きい国や地域の税率を引き上げる。世界最大の経済大国が「貿易戦争」の火ぶたを切ったとも思える状況だ。 これまで自由主義経済の騎手だった米国が、露骨な「自国第一主義」に転換した。トランプ政権を「利己的」と非難するのはたやすい。 だが関税発動は、トランプ大統領のかねての公約であり、こ… 2025/04/06
視点 【視点】思考停止では命救えぬ 政府は台湾有事を念頭に、国境に近い先島諸島の5市町村住民を九州に避難させる計画を公表した。 住民としては、できれば考えたくない事態である。だが考えることを拒否して思考停止になっては、万一の事態で救える命も救えなくなる。 県民の4人に1人が犠牲になったといわれる沖縄戦の惨禍を教訓に、政府は今後、計画をより緻密に練り上げていかなくてはならない。 計画では、先島5市町村の住民12万人を6日間で九… 2025/04/03
視点 【視点】米軍跡地利用 全県的な議論を 宜野湾市で行われた開所式では、出席者から米軍基地跡地利用の「モデルケース」という言葉が何度も飛び交った。約15・5㌶の旧米軍キャンプ瑞慶覧西普天間住宅地区跡地(同市)が、琉球大学病院、同医学部の移転新築で「沖縄健康医療拠点」として生まれ変わったのだ。 ▽全県民に恩恵 米軍基地の跡地利用と言えば、沖縄ライカムのような大型ショッピングセンターの誘致がすぐ思い浮かぶ。復帰後、沖縄本島では現在までに… 2025/03/21
視点 【視点】トランプ氏発言 米国頼みへの警鐘だ トランプ米大統領は「米国は日本を防衛しなければならないが、日本はわれわれを守る義務はない」「日本は大もうけしている」と述べ、日米安保条約への不満を表明した。 この直前には米国防総省幹部が、日本は防衛費を国内総生産(GDP)の3%に引き上げるべきと主張した。 トランプ氏の発言もあいまって、日本が防衛費を増額しない場合、米国は日米安保条約の義務を果たさないのではないかという見方が浮上した。 こ… 2025/03/11
視点 【視点】高まる防災意識 進まぬ対策も 津波に街が吞み込まれる光景をテレビで見て、反射的に「明和の大津波もこうだったのか」と思った。東日本大震災は、八重山の人々が語り継いできた大災害のトラウマを再び目覚めさせた。 あれから14年経った現在も、私たちは東北の大震災と八重山の島々で起きた明和の大津波をパラレルに受け止め続けている。つまり、同じ事態は今、私たちが住むこの島々でも常に起こり得る、という認識を持っている。 東日本大震災を機に… 2025/03/11
視点 【視点】不透明感増す停戦のゆくえ 首脳同士がカメラの前で激しく口論する前代未聞の展開になった。世界が注目した米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談だ。 ウクライナ戦争では米ロが停戦交渉に乗り出しているが、当事国であるウクライナが最大の後ろ盾である米国と決裂する事態になれば、停戦のゆくえは一気に不透明感を増す。 口論のきっかけは、バイデン前政権の対ロ対応を批判したバンス米副大統領の発言に、ゼレンスキー氏が口… 2025/03/04
視点 【視点】米艦船入港 16年前とは一変した 隔世の感がある。2009年に米海軍の掃海艇が初入港した石垣港には反対派が大挙して港に押しかけ、乗組員らの上陸を阻止するため「人間の壁」をつくって出入口を強行封鎖した。乗組員らは正面から反対派を突破し、現場は大混乱になった。 当時の大浜長照市長は非常事態を宣言し、港湾担当課に対し、米艦船への一切の協力を拒むよう指示した。 あれから16年。米海軍の揚陸艦が石垣港に入港したが、反対派の姿はまばらで… 2025/02/28
視点 【視点】「特定利用」なぜ3施設だけか 沖縄県が新石垣空港、宮古空港、中城湾港の「特定利用空港・港湾」指定に同意する方向で検討を始めた。地元自治体からも空港・港湾機能の強化を求める声が上がっており、県がようやく同意に前向きな姿勢を示したことは評価できる。 だが、台湾に近く有事への懸念が根強い与那国町の与那国空港などは同意の対象から外れている。県が指定に同意するとしても、なぜ3施設だけなのか。 政府が「特定利用空港・港湾」の指定を進… 2025/02/21
視点 【視点】人命の損耗止めるのが最優先 ロシアとウクライナの戦争停止に向け、米国とロシアの和平交渉が開始される。ウクライナや欧州抜きで進む協議には警戒の声が上がるが、バンス米副大統領はウクライナのゼレンスキー大統領との会談で「戦争を終結させ、永続的な平和を追求したい」と述べた。 戦争は2022年2月のロシアによる侵攻開始から3年が経過し、長期化の様相を呈している。まずは人命の損耗を止めることが最優先課題であり、和平交渉の進ちょくに期… 2025/02/19
視点 【視点】存在意義問われる県の米事務所 沖縄県議会は、県が提案した2025年度一般会計当初予算案約8894億円を審議せず、差し戻す動議案を自民、公明の賛成多数で可決した。議会が当初予算案の審議を拒否するは初めての事態という。 当初予算案には、地方自治法などに違反した運営が明るみに出た米国ワシントン駐在事務所の活動事業費約3900万円が含まれている。自民の動議では、当初予算案が「違法を前提」にしていると断罪した。 駐在事務所は米軍普… 2025/02/15
視点 【視点】戦後80年 平和構築に目を向けよう 沖縄戦当時、旧日本陸軍が首里城地下に建設した第32軍司令部壕の第一坑道入り口が報道陣に公開された。 地表から約6㍍下の発掘現場では、当時の床板、坑木(柱)などの痕跡が生々しく残っている。80年前、極限状態にあった日本人たちは、このような場所で息をひそめ、死に物狂いで戦いを継続しようとしたのだろうか。玉城デニー知事は「非常に貴重な戦争の遺構だ」と述べた。 今年は戦後80年の節目であり、こうした… 2025/02/10
視点 【視点】全島避難 住民の理解不可欠 有事に備え、万全の体制を構築している姿を示すことは、有事を防ぐ有効な手段にもなる。国、沖縄県、県内市町村の国民保護共同図上訓練が1月30日、県庁で実施された。 他国からの武力行使を想定し、先島諸島の住民や観光客約12万人を九州・山口に避難させるための訓練だ。「戦争を想起させる」「まるで沖縄戦の疎開だ」と感情的に反発する声もあるが、まさに戦争を防ぎ、過去の惨事を繰り返さないための取り組みであるこ… 2025/02/04
視点 【視点】「オール沖縄」は存在意義失った 改めて「オール沖縄」は終焉(しゅうえん)に近づいているとの思いを強くする。26日投開票の沖縄市長選で、自民、公明が推薦した前県議の新人、花城大輔氏が、社民、共産、立民、社大推薦の「オール沖縄」の対立候補を破り、初当選した。今月の宮古島市長選でも、保守系新人で県知事公室長などを歴任した嘉数登氏が「オール沖縄」に支援された現職の再選を阻んだ。「オール沖縄」は今年に入り、2連敗となった。 沖縄市、宮… 2025/01/28
視点 【視点】防衛相来島 国境離島の現状把握を 日本の安全保障の最前線となっている国境離島の現状を確認した。中谷元防衛相が21日から2日間、八重山の3市町を視察した。 国境の防衛強化、有事の際の避難体制など、八重山が抱える課題に対し認識を新たにする機会になったはずだ。住民の不安を直接聞くことができたのも大きい。米軍基地問題を抱える沖縄本島とはまた違った国境離島の声を、今後の防衛政策に生かしてほしい。 台湾から約110㌔の与那国町で糸数健一… 2025/01/24
視点 【視点】米新政権 協力し平和構築を 米国の第47代大統領に就任したトランプ氏は「私の最も誇らしい遺産は平和の創造者であり、統一させる者になることだろう。それこそ私がなりたいものだ」と演説した。中東やウクライナの戦争を終結させるという強い意欲を示した発言だ。 米国には、日本国民が最も懸念する台湾有事の抑止に力を発揮してもらう必要がある。日本はトランプ政権と積極的に協力し、国際的な平和の構築を進めるべきだ。 実業家出身のトランプ大… 2025/01/22
視点 【視点】不安定化する民主主義陣営 日本と韓国、米国は独裁的な中国やロシアに対抗する民主主義陣営の「チーム」としてアジアで連携強化を進めてきた。ところが、ここへ来て日本と他の2国の関係が不安定化する兆しも見えている。 韓国では「非常戒厳」を宣言した尹錫悦大統領が内乱罪容疑で拘束された。現職大統領の拘束は初めてで、尹大統領は既に職務を停止されている。韓国は半ば無政府状態に陥った。 日韓関係は、文在寅前大統領時代に徴用工問題などで… 2025/01/16