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本棚やごみ箱に〝再生〟 石垣島の漂着ごみ、高校生制作

2025/11/21

八商工の生徒や関係者が、作品と共に記念撮影した=20日、市役所

石垣市役所では20日、石垣島に漂着した海洋ごみをアップサイクル(創造的再利用)した製品がお披露目された。昨年に締結された市と大成建設㈱による漂着プラスチックのアップサイクル利用促進に係る連携協定に基づく取り組みで、八重山商工高校観光コース3年生(13人)が同社とのコラボで4作品を制作した。

近年、沖縄の環境を悪化させている海洋漂着ごみ問題の解決を図るため、石垣市は大成建設と連携協定を昨年11月に締結した。

関連した取り組みの第1弾として、八商工の生徒や市民が加わった活動を今年2月から開始。市内でビーチクリーン活動を続ける縄文企画の協力を得て、期間中にアースクリーン(市内のゴミ拾いも含む)を実施。収集ごみを使った作品作りも開始した。

アースクリーンは20日早朝も含め、計10回実施。約300人の市民や観光客などが参加し、伊野田漁港や大浜海岸などを清掃。延べ約800㌔のごみを回収した。このうち、ペットボトルなどのキャップ類だけで約20㌔が集まった。

期間中、ワークショップも9回開催。集めたごみを粉砕し作品の材料する作業や、作品のアイディア出しなどを行った。
完成した作品は、児童館向けの本棚やミンサー模様のランプ、アートボード、八商工に設置するごみ箱の4つ。集めたごみ(プラスチック)を溶かして装飾に流用した。

建設大手である大成にとって、今回の4作品を作った事例は、企業の社会貢献だけでなく、新たなビジネスモデルを創出できるチャンスにもなる。
既に、縄文企画と協力して海洋ごみのプラスチックを装飾に再利用し表面に敷きつめたテーブルを作製した。

自然共生技術部の横溝成人部長は「(海洋ごみは)パーテーションや家具の表面部分などの装飾に活用できる。海外では既に事例がある。石垣発であるアップサイクルの建材利用を、全国に展開していきたい」と展望を語った。

本棚を作った大浜ひめのさん(18)、新盛ひめなさん(17)は「ごみの多さに驚いた。今後も海岸清掃に参加したい。実用的な作品が完成できて良かった」と感想を述べた。

知念永一郎副市長は「生徒の皆さんには、地域社会の一員として実践を通じた学びがあったと思う」と評価。連携協定の2年目も「活動を推進する」と強調した。