知事「申し上げることない」 中国の先住民発言で 県議会一般質問
県議会で答弁する玉城知事=8日
中国政府の代表が国連で沖縄県民を「先住民」と発言した問題で、玉城デニー知事は8日、県議会で見解を問われ「これまで県民が先住民族であるかの議論は行っていない。今回の発言について特に意見を申し上げることはない」と述べた。大浜一郎氏(自民)の一般質問に答えた。
玉城知事は「沖縄に関する歴史認識や個人のアイデンティティについては、県民一人ひとりにさまざまな考えがあり、それぞれが尊重されることが重要だ」とも強調した。
沖縄が日本であることを疑問視する宣伝を中国メディアが展開している問題に関しては「私はふだんから、生活であれ文化であれ、日本人であるウチナーンチュ(沖縄人)であると考えている」と述べた。
大浜氏は先住民発言について「県民の尊厳の観点から不適切だと明言できないのはなぜか」と疑問視したが、玉城知事は同様の答弁を繰り返した。
尖閣諸島海域で日本漁船が中国海警局の艦船から操業妨害を受けている問題で、玉城知事が「安心安全な領域で漁が営まれることのほうを選択されたほうがよろしいのではないか」と発言したことについて、大浜氏は「争いがある海域という誤解を発信してしまっている」と撤回を求めた。
玉城知事は「中国の海警船による威圧行為が現に繰り返されていることを踏まえ、その危険性を考慮して、漁業者の安全安心の確保に触れたものだ。漁業者が領海内で行う操業が妨げられることがあってはならない」と述べた。
大浜氏は「心底情けない。県が安全確保を理由に、領海の正当性をあいまいにするほど危険なことはない」と批判。「領海侵入は容認できないと明確に知事の言葉で発信できるか。自分の言葉で抗議しないのか」と迫った。玉城知事は「領土領海に関する問題は、一義的には国と国との対話によって平和的に解決してほしい」と述べた。
大浜氏は知事の一連の発言について「中国の認知戦工作に完璧に利用される。なぜ中国が国連の場でこういう発言をしたのか、知事は魂胆を理解しないといけない」と指摘した。