やいま丸、住民避難で活用 有事念頭 県庁で図上訓練
訓練冒頭にあいさつする玉城デニー知事=29日午前、県庁
台湾有事などの事態を念頭に、沖縄県は29日、先島地域からの住民避難を円滑に進めるため、今年度の国民保護共同図上訓練を県庁で開催した。住民避難の検討に重点を置き、国や県、県内外の市町村などの関係機関が県庁講堂に集まり、調整会議の運営訓練を行った。政府や県、先島5自治体の避難計画を説明。株式会社商船やいまが台湾航路で運航する予定の「やいま丸」について、県は住民避難で使用する候補船舶に挙げた。
県は、「やいま丸」と大東海運の「だいとう」を住民避難に活用することで「石垣・平良両港から1日で那覇港に輸送できる人数が、それぞれ420人から630人に増加できる」と説明した。
計画では、航空機や船舶を使用して先島地域から1日で約2万人が島外に避難する。6日程度で島外への避難を完了させる。
具体的には、海路として「やいま丸」を含む民間チャーター船(計3隻)やNPO運用船、県実習船、自衛隊PFI船(2隻)、海保巡視船(同)、計9隻を活用。空路として、民間の旅客機(57機、計107便)を活用する。
今回の訓練では、避難時に配慮が必要な住民を5自治体で計1万1778人と概算。独歩可能からヘリによる移送が必要まで、計7分類に分け、対象者数を把握した。今後、関係機関が実際の避難手段や支援体制を整理・検討する。
国外から武力攻撃を受ける可能性があると判断した場合、国は国民保護法に基づき、「武力攻撃予測事態」を認定。先島住民や観光客など約12万人を、九州各県や山口県に避難させる。
また、同事態の認定前だが住民避難の可能性があると判断した場合には、関係機関に連携体制の構築を依頼。沖縄県では危機管理対策本部を、先島5自治体は緊急事態連絡室を、それぞれ設置する。
今回は、平時から開く関係機関による連絡調整会議の運営を訓練。同会議は2022年度から毎年度開催しており、今回はオンラインも含め、過去最多の94機関、425人が参加した。来年度は、予測事態下での各国民保護対策本部の運営や実働訓練を行う予定。
訓練冒頭、玉城デニー知事は「今回の訓練で国民保護の実効性向上を図る」と強調。結果を来年度の訓練に生かすとした。
商船やいまの大浜龍一氏も訓練にオンラインで参加し「やいま丸の就航時期は未定」としつつ、船舶の概要を紹介した。