【視点】対中姿勢も大きな争点だ
超短期決戦の衆院選は、8日の投開票まで1週間を切った。主要各党が消費税ゼロを掲げるなど、物価高対策が最大の争点とされるが、沖縄県民として見逃せない争点は高市早苗政権の対中姿勢だ。
昨年11月、台湾有事に関して高市首相が、日本の「存立危機事態になり得る」との見解を示したことで中国が猛反発。自国民に日本への渡航自粛を呼び掛けたり、レアアース(希土類)の輸出を規制するなどの「対抗措置」を繰り出し、日中関係が一気に悪化している。
首相答弁を「撤回する必要がない」として毅然とした対応を求めるのが自民、維新、国民民主、参政、保守といった政党だ。
一方で中国との対話による平和外交に重きを置くよう求めるのが立憲民主党と公明党が合流した中道、社民、共産、れいわなどという位置づけになるだろう。
高市首相は衆参ともに少数与党という現状の打開と、政策推進力の回復を狙って衆院解散に打って出た。高市政権が進める「責任ある積極財政」の是非を国民に問うことが最大の目的だろう。
だが、中国政府の強硬姿勢で行き詰まりを見せている対中外交に関し、明確な形で民意の後押しを得たいという思いもあるはずだ。
中国としてはこぶしを振り上げてはみたものの、日中関係の今後について確かな見通しを持っているようには見えない。
衆院選でいったんリセットという形にして、高市首相が信任されても退陣しても、選挙後にできる新たな政権との間で関係改善を試みるほかない。仮に高市首相が続投した場合、なお対話を拒み続けるというのであれば、日本の民意を無視して日中関係を泥沼化させることになる。それはどう考えても中国の国益にはならないだろう。
日本としては中国に対し毅然とした対応を継続するか、新たな方針のもと対話に動くか、民意に従って二者択一するだけだ。
沖縄、特に台湾に近い先島諸島では、安倍晋三元首相の「台湾有事は日本有事」という発言は極めて現実的なものとして受け止められている。台湾有事を念頭にした住民避難計画の策定や、シェルター設置計画も進んでいる。高市首相の国会答弁も安倍氏の発言の延長線上にあり、本質的に何ら問題はない。
中国との対話や平和外交を粘り強く続けるのは当然だが、言葉尻をあげつらって二国間の緊張を高める中国の姿勢は全く容認できるものではない。
衆院選後にどのような政権ができるにせよ、中国政府の言いがかりのような対日批判や誤解には、ひるまずに正面から対峙することが必要だ。それが沖縄の安全にもつながるはずである。