【視点】辺野古巡り「中道」迷走か
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題で、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」が迷走の兆しを見せている。
きっかけは安住淳幹事長が19日、移設工事について「中道が政権を担うことになれば、ストップすることは現実的ではない」と述べたことだ。
辺野古移設に反対していた立民が容認に政策転換したと見られかねない発言だったことから、立民沖縄県連は猛反発。20日には野田佳彦代表に対し、安住氏の発言撤回と辺野古移設反対の堅持を求める要請書を出した。安住氏は「移設に関する整理はまだできていない」と発言を修正した。
立民とタッグを組んだ公明は、党本部が辺野古移設を容認している。辺野古移設を容認するのか、反対を貫くのか。あちら立てればこちら立たずで、立民は「股裂き」の状況に陥りつつあるようだ。
立民、公明の衆院議員と衆院選の候補者は全員中道に入党する。衆院選で、比例は公明出身の候補を上位に優遇し、公明は選挙区で立民出身の候補を支援する。これが立民と公明の選挙協力だ。
新党結成に伴い、立民は従来の政策を改め、安全保障関連法を合憲と認め、原発の再稼働も容認する。与党を経験した公明の主張に沿って現実路線に転換した形で、安住幹事長の辺野古発言も、そうした流れで飛び出したのだろう。
だが沖縄では、辺野古移設反対を旗印に革新勢力が共闘する「オール沖縄」勢力が存在し、県政も掌握している。衆院選で立憲から中道に入党した候補者も「オール沖縄」勢力の支援を受けている。
中道が移設を容認するなら、中道と「オール沖縄」勢力の関係をどう説明するのかが大きな問題になる。
もう一つの難問は、公明支持者が「オール沖縄」勢力に強いアレルギーを抱いていることだ。「オール沖縄」勢力の中核となる組織の一つが共産党で、公明が「オール沖縄」勢力を支援するなら、自動的に共産と共闘することになってしまうためだ。
さらに事態を複雑にしているのは、公明も沖縄県本部は辺野古移設に反対していることだ。
中道の結成に対しては、当初から「理念なき数合わせ」との批判が強い。その矛盾が最も象徴的な形で噴出しているのが沖縄だと言える。沖縄での立公連携は一筋縄ではいかない。
中道が本気で国政を担う政党を目指すなら、安保政策も現実路線を徹底すべきで、辺野古移設容認に転じるのは当然だ。立民執行部は県連に対し、そのことを明確に説明する義務があるだろう。
しかし、安住氏はかえって自らの発言を修正し、辺野古移設に対する中道のスタンスは曖昧になってしまった。来週には衆院選の公示を迎える。このまま選挙に突入するのであれば、無責任もはなはだしい。
仮に中道が辺野古移設に反対したり、沖縄の候補が移設反対の主張をすることを容認するなら、政権党としての信頼性に大きな疑問が残る。
一方、移設容認を打ち出した場合は「オール沖縄」勢力との関係に大きな亀裂を生じる。どちらに転んでも、中道はいばらの道である。