邦人救出にオスプレイ想定 陸自、尖閣防衛でも活用

 2016年施行の安全保障関連法で自衛隊の任務として可能になった海外の邦人救出や警護活動に必要だとして、政府が米空軍の特殊作戦用輸送機CV22オスプレイなど専用航空機を導入する方針を固めたことが23日、複数の政府関係者への取材で分かった。陸上自衛隊は尖閣諸島(石垣市登野城)など離島奪還作戦での使用も念頭に置いている。
 防衛省では、危険性が極めて高い救出任務が具体化することを危惧する声があるほか、オスプレイを巡っては米軍による配備や陸自の導入に強い反発があり、構想の実現までに曲折も予想される。

 救出や警護の任務は、陸自のテロ・ゲリラ攻撃に対応する専門部隊「特殊作戦群」(千葉県船橋市)が担うが、現地での隊員の展開や支援の専用機がないため、実行が困難なままだった。政府は、日本人10人が死亡した13年のアルジェリア人質事件と同様の事態が今後もあり得るとして、態勢強化を急いでいた。
 政府関係者によると、CV22は、米軍が普天間飛行場に配備している海兵隊仕様のMV22に比べ、夜間の飛行能力に優れ、超低空飛行も可能とされる。陸自は18~24年度に計17機のオスプレイ導入を決定しており、一部をCV22とすることで調整を進める。
 陸自がオスプレイの配備を計画している佐賀空港では地元との調整が難航し、国内への搬入がずれ込んでいるのが実情だ。機種については、CV22のほか陸自のUH60多用途ヘリコプターの改造機も想定している。改造機は、防弾性能を向上させ、航空自衛隊のC2輸送機で運搬する計画だ。
 特殊作戦群は、レンジャーやパラシュート、外国語、射撃など自衛隊で最も難度の高い訓練を経た隊員で構成。陸自は、専用機を導入し、ヘリの高度な運用能力がある第1ヘリコプター団(千葉県木更津市)に専門部隊を新設し、特殊作戦群とともに、邦人救出などに投入する考えだ。
 海外の邦人救出活動を巡っては、安保法で警護、救出などの「保護措置」が盛り込まれた。従来は艦船、航空機を使った輸送や、アルジェリア事件後に追加された車両を使う陸上輸送が可能だった。(共同通信編集委員 石井暁)

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