【視点】教えられる「優しさと勇敢さ」

 沖縄の高校生を巡る心温まるニュースが相次いでいる。人の優しさや、勇気について改めて考えさせられるエピソードだ。
 与那国島出身で、那覇市の高校2年生崎元颯馬さん(17)は4月、伯父の葬儀に参列するため島に帰ろうとしていたが、モノレールの那覇空港駅で、往復の航空運賃が入った財布をなくしてしまった。頭を抱えているところへ、男性から「どうしたの」と声を掛けられた。事情を話すと、男性は6万円を差し出し、身元も明かさず立ち去った。
 崎元さんは那覇に戻ったあと、県紙を通じて男性を探した。すると、記事を読んだ埼玉県の68歳の医師が学校を通じて名乗り出た。沖縄タイムスによると、医師は「探してくれていることに感激して泣けてきた」と喜び、近く沖縄で崎元さんと再会する予定だという。
 困っている高校生を見かけ、黙ってお金を渡した医師の優しさ、懸命に恩人を探した崎元さんの誠意は、報道を通して全国に伝えられ、感動を広げた。
 核家族化や地域の絆の希薄化など、とかく現代は、他人との関係がビジネスライクになりがちだ。こうしたエピソードを聞くと、砂漠でオアシスに出会ったような気持ちになれる。
 人間同士の絆を大切にする日本人の「和」の精神は、助け合いを意味する沖縄の「ゆいまーる」精神にも通じる。崎元さんと医師のエピソードを、社会を守り、発展させてきた日本人ならではの心を見直す契機としたい。

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