【視点】鎮魂の季節迎える沖縄

 従来の平和学習は、当時の県民の悲惨な境遇を最大限に強調することで、子どもたちに戦争に対する嫌悪感や恐怖感を植え付けようとする授業が多かった。
 戦争とは確かに嫌悪や恐怖の対象でしかない。しかし現在の国際社会で厳然と存在する現実でもあり、目を背けることもできない。なぜ戦争は起きるのか、どうすれば戦争を防ぐことができるのか。広い視野を持って戦争を語れるようにしたい。現実の国際情勢や「抑止力」の重要性も含め、しっかりと子どもたちに伝えるべきだ。
 沖縄戦全戦没者追悼式は、平和を希求する沖縄の心を全国に発信する1年に1回の機会だ。
 しかし翁長雄志前知事の就任以来、知事が朗読する「平和宣言」に、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する文言が盛り込まれるようになった。厳粛な式典の場を、知事が政治的アピールに利用するという残念な事態である。
 今年は玉城デニー知事が就任以来初めて臨むことになるが、平和宣言に辺野古を盛り込むかどうかは「過重な基地負担を踏まえ、文言の内容を調整中だ」と述べるにとどめている。
 玉城知事の政治姿勢から考えて、平和宣言で今年も辺野古に言及する可能性が高いが、式典は本来、県民が心を一つに戦没者を追悼する場であある。政治利用は慎むべきだ。
 式典に参列した安倍晋三首相に対し、参列者からやじが飛ぶのも恒例行事のようになってしまっている。そのような光景は、沖縄の恥であることを自覚すべきだ。
 今年の式典では静謐(せいひつ)な環境で、戦没者の御霊を慰めたい。

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