【視点】沖縄の品位下げた追悼式

 平和宣言にウチナーグチ(沖縄方言)や英語を盛り込むのはユニークなアイデアで、就任後初めて追悼式に臨む知事の「デニーカラー」を打ち出したものだ。しかし、すべて台無しである。
 追悼式に出席した安倍首相に対し、参列者が口汚いやじを飛ばすのも恒例行事になってしまった。参列者の一部は首相のあいさつを遮るように「辞めろ」「あんたの言葉には心がない」「辺野古を止めてから言え」などと叫んだ。これも恥ずべき光景だ。
 主催者の知事本人が首相を攻撃するような「平和宣言」を朗読しているのだから、県が煽り立てたようなものと言えなくもない。毎年のように下品なやじが繰り返されているのを知っていながら、何の対策も取っていないのだろうか。
 事前にやじを飛ばさないよう注意するアナウンスが流されたようだが、参列者のチェックのあり方を見なすべきではないか。
 首相はあいさつで、犠牲者への追悼の思いと、米軍基地の過重負担解消に向けた決意を示した。追悼式は県との論戦の場ではないのだから、知事とは対照的に冷静だったと言える。毎年参列者の怒号を浴びながらも追悼式に足を運び続け、今年で8回目になる。沖縄への強い思いの表れだろう。
 平和で安全な沖縄を後世に引き継ぐ。沖縄と本土が思いを共有する一日が「慰霊の日」である。辺野古を巡る対決は、別の日に別の場所でやればよい。「慰霊の日」や追悼式のありようを変容させた翁長前知事、そして玉城知事の責任は大きい。

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