【視点】日米安保 米国と沖縄に不満も

 「日米安全保障条約は不公平」―。20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)のため来日中のトランプ米大統領は記者会見で、重ねて不満を口にした。膨大な基地負担を背負う沖縄県民からすれば「不公平感を持っているのはこっちだ」と言う声も出そうだが、論理的に考えれば大統領の考えも「もっとも」な一面はある。
 大統領は米テレビの電話インタビューでも「日本が攻撃されたら米国は日本を守らなければならないが、米国が攻撃されたとき日本はわれわれを助ける必要がない」と述べ、条約は片務的だと主張していた。
 日米安保条約は1951年に調印され、60年に全面改定された。日本施政権下の有事で米国が日本防衛の義務を負う一方、日本は極東の安定確保のため米軍に基地を提供すると規定されている。
 米国にすれば日本が他国の侵略を受けた場合、若い兵士たちが命を危険にさらして日本人のために戦う。
 日本は見返りに広大な米軍基地を提供し、巨額な米軍駐留経費を負担している。しかしトランプ氏がよく口にする「ディール(取り引き)」の観点で言えば「命にカネは代えられない」のは当たり前だ。
 一方、沖縄の視点からすれば、米軍の駐留に絡む事件、事故、騒音などの被害は戦後一貫して起き続けた。基地反対派からは「米国がそれほど不満なら、米軍には喜んで出て行ってもらう」という声も当然上がる。
 しかし現時点で日米安保が解消され、米軍が撤退すれば、東アジアで中国の軍事的パワーが圧倒的になることは不可避だ。国力を比較しても、中国のGDPは既に日本の3倍近くに達している。地理的に中国に近い沖縄は、尖閣諸島を含め、事実上、中国のコントロール下に置かれてしまうだろう。たとえ領土を巡って軍事紛争が勃発しても、中国は到底、日本一国で太刀打ちできる相手ではないと見るのが現実的だ。

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