【視点】知事の訪韓 何の意味があるのか

 さらにさかのぼれば、知事が4月に訪中した際には、中国首相に対し、中国主導の世界的な経済圏構想「一帯一路」への協力を表明して物議をかもした。知事は一貫して中国に融和的な姿勢を保っているが、石垣市の尖閣諸島周辺では中国公船の領海侵入が常態化している。
 税金の使い方として、成果が見えない外遊が繰り返されることには疑問がある。辺野古移設阻止が知事の公約であるとか、日韓関係や日中関係の改善には誰も反対しないからという理由だけでは、知事の外遊に税金がつぎ込まれることの理由にはならない。
 沖縄と韓国との交流より、県が心配しなくてはならないのは政府との関係だ。辺野古移設問題を巡る対立は、毎年のように続く沖縄振興予算の減額につながっている。
 2年後に期限切れとなる沖縄振興計画の改定作業に、政府との関係悪化が悪影響を与える可能性も否定できない。
 県の埋め立て承認を取り消す裁決に国土交通相が関与したことの違法性を問う裁判は23日、高裁で県が敗訴した。玉城知事の就任後、辺野古移設を巡る裁判での敗訴は初めてだ。
 政府との関係修復には、県が潔く上告を断念し、辺野古移設を受け入れることが欠かせない。だが、そうした大きな方針転換があるなら、知事がこの時期に訪韓している余裕などあるわけがない。
 訪韓は、政府との関係悪化に知事がさほど危機感を抱いておらず、現状を放置するという意思の裏返しではないか。

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