【視点】ヘリポート問題 県の存在感薄く

 市の跡地利用計画では土地区画整理事業導入後、換地処分の開始を2028年度と見込んでおり、現地で実際に開発が始まるまで、かなりの時間的猶予がある。暫定ヘリポート案でも、その間は八重山病院の近接地でヘリポートを運用し続けることができる。ヘリポートを消防本部屋上に整備するのであれば、長期的な運用も可能だ。
 気になるのは、ヘリポートの設置位置に関し、関係機関がそれぞれの思惑で、バラバラに動いているように見えることだ。
 八重山病院は同病院周辺でのヘリポート設置を求めているが、昨年12月、篠崎裕子院長は、離発着場が新空港に変更されれば医者のヘリ搭乗を拒否する可能性を示唆。石垣市から反発の声が上がった。
 石垣市は旧空港跡地の開発を優先し、消防本部の屋上は別としても、跡地内での恒久的なヘリポート設置には難色を示している。竹富町は八重山病院周辺でのヘリポート設置を求めて譲らない。石垣航空基地は、離発着の安全性を最優先に検討するよう訴える。
 急患輸送の当事者である竹富町、ヘリポートの設置場所を提供する石垣市、現に急患輸送の任務に当たる石垣航空基地、急患を受け入れる八重山病院で、それぞれ立場は違う。取りまとめ役として、広域行政に責任を持つ県の存在が不可欠だ。
 むしろ当初から県がイニシアチブを握って議論を進めるべきではないかと思われるが、県の存在感は一貫して薄い。暫定ヘリポートにせよ消防本部の建て替えにせよ、県が相応の財政負担をすることが前提だが、その点について県がどう考えているのかも分からない。
 米軍基地問題だけでなく、首里城再建や豚コレラ対策など、県の課題は山積みだ。だが、その中で離島医療が置き去りにされるような状況があってはならない。

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