企業の離島訪問促進へ テレワーク+ワーケーション
ワーケーションの推進で表彰されたブルー・オーシャン沖縄の崎山執行役員=2日午前、那覇市
ITコンサルティング業の株式会社ブルー・オーシャン沖縄(那覇市、岩見学代表取締役社長)が、仕事をしながら休暇を楽しむ「ワーケーション」と、離島でのテレワーク拠点整備を融合したビジネスモデルの展開を始めた。首都圏の企業などから受注した業務を離島のテレワーク拠点に担わせることで、発注した社員らが仕事や休暇で離島を訪れる機会を促進する。同社は今年、石垣島と伊江島でテレワーク拠点を整備しており、崎山喜一郎執行役員・公共SI事業部統括は「(発注元の)企業と離島の人たちの関係性をつくりたい」と意気込む。
同社は人口規模の小さな離島で、住民の生活スタイルに合ったテレワークの普及に取り組んでおり、2023年に宮古島で同社初となる離島でのテレワーク拠点を整備した。
首都圏の企業から受注した業務を宮古島のスタッフに担わせたところ、発注した社員らが指導のため現地に出向くことになり「宮古島に行ける」と歓喜。その姿を見て「テレワークとワーケーションの融合」のヒントを得たという。
これまでに3社の社員らを宮古島に案内し、現地での観光もサポートした。ワーケーションの実践を推進したと評価され、今年6月には沖縄総合通信事務所から表彰を受けた。
県の「離島テレワーク拠点整備支援事業」による補助を受け、今年8月には石垣島、10月には伊江島でもテレワーク拠点を開設。これを受け、業務を発注した企業から、既に社員の石垣島派遣について問い合わせが来ているという。
同社はワーケーションに関心を持つ企業向けに「この島で仕事を応縁(おうえん)しませんか?」と記したポスターを作成。「そのオフィスはハコではなくヒトとのつながり。この島とビジネスで縁を創りませんか?」と呼び掛けた。
崎山執行役員は「石垣島に行くと仕事のスイッチが半分オフになり、リゾートを楽しみたくなる。離島のテレワーク拠点に業務を発注することの付加価値。知らない人が業務を担うより『石垣の人に仕事をやってもらっている』と意識してほしい」と期待した。
セキュリティが充実したテレワーク拠点での業務は、在宅でのテレワークに比べ受注単価が高いというメリットもあるという。石垣島のテレワーク拠点では交代で常時10人勤務する体制。現地雇用のスタッフを現在も募集している。
崎山執行役員は「テレワークは離島の新しい収益基盤になる。住民、自治体、企業の『三方良し』の取り組みでもある。島の人たちの生活は変えず、今のままで売り上げが上がっていく状況をつくりたい」と展望を語った。