「尖閣1945」クランクアップ 来夏完成、石垣で先行試写 市長「平和への思い伝える」
第二次大戦末期に起きた「尖閣列島戦時遭難事件」をテーマに石垣市が制作した映画「尖閣1945」が11月21日、クランクアップした。市によると12月から撮影映像の編集作業に入り、来年6月末か7月ごろに完成。市内で先行特別試写会を開催する。全国公開は来年秋以降。10日の市議会一般質問で映画のエグゼクティブプロデューサーを務めた中山義隆市長は「尖閣諸島で何があったか理解していただき、平和に対する思いを伝えることができれば」と期待した。
「尖閣1945」は作家、門田隆将さんの著書を原作した映画。市議会一般質問で登野城このみ氏が制作の進ちょく状況をただした。
五十嵐匠監督らスタッフは10月15日から石垣市の石垣漁港で撮影を開始。市によると、市内の底地ビーチや民有地などで撮影を行い、俳優陣のサバニ漕ぎの訓練を経て海上での撮影も本格化させた。
11月21日には島内と周辺海域ですべての撮影を終了。今後、CG(コンピュータ・グラフィックス)作成、サウンドミキシング、楽曲収録などの作業を進めるという。
配給の彩プロは9日、新たに追加キャストとして女優の羽田美智子さんが魚釣島に漂着した母親役で出演すると発表した。
市議会で野崎雅治尖閣諸島対策室長は映画製作や広告配給に関する委託契約費が総額約3億円と答弁。市議会12月定例会に補正予算案を上程しており、最終的に3億3千万円の契約になる見込みとなっている。
10月に開催された地元住民対象の出演者募集説明会には約300人が参加し、24人が役柄名のある役、150人以上がエキストラで出演した。ほかにダイバー、撮影手伝い、出演する高齢者や子どもの送迎などで総勢200人超の市民が協力し、制作会社側から「多大なる市民のご協力に対する感謝の言葉があった」(野崎室長)という。
登野城氏は「映画が平和と安全を考えるきっかけとなり、石垣市の文化的な資産として長く活用されるよう透明性のある運用をお願いしたい」と要望した。