竹富町が津波想定図上訓練 町長「町民の命を守る最大限の努力を」 離島の現実検証
津波5メートルを想定し、情報整理や対応手順を確認する竹富町職員ら=町役場
竹富町は21日、町役場で第2回職員スキルアップ研修会を開き、大規模地震と津波を想定した防災図上訓練(TTX)を実施した。全職員が参加し、発災直後の初動対応や情報共有の在り方を検証した。
想定は石垣島南東沖を震源とするマグニチュード7クラスの地震発生後、竹富町に最大5㍍の津波が到達するという厳しい内容。庁舎1階の浸水、通信途絶、海底送水管破断による断水、観光客約900人の滞留など複合的な被害を設定した。
訓練は町が進めるDXを活用し、Microsoft Teamsを通じてコントローラー側から次々と「想定(インジェクト)」を各課に送信。各課が状況を整理し、対策本部へ報告する形式で進められた。
企画した真栄田義史消防防災アドバイザーは、今回の訓練について「目標は『気づき』。できないことを探すのではなく、自分たちの現在地を確認するためのもの」と説明。訓練自体は2時間だったが、「これは発災直後の急性期の一部を切り取ったに過ぎない」と強調した。
その上で離島特有の課題に触れ、「竹富町は海を渡らなければ支援が来ない。72時間の壁が必ずやってくる。その前に動けなければ町民の命を助けることは非常に厳しくなる」と警鐘を鳴らした。初動段階での安否確認、情報収集、災害派遣要請の判断が、人命救助の成否を左右するとの認識を示した。
また「マンパワーの確保が最優先。大きな揺れの後は指示を待たず各課で安否確認を行い、総務課へ報告する流れを徹底してほしい」と求め、地図上への付箋貼付など情報の可視化とルール化の重要性を指摘した。
前泊正人町長は「訓練でできないことは実際の災害時にもできない。正確な情報が迅速に上がらなければ判断できない」と述べ、連絡体制の複線化と初動対応の改善を指示。講評では「1人では何もできない。連携と覚悟を持ち、町民の命を守る最大限の努力を」と職員を鼓舞した。
町は今後、出張所や各島の自主防災会、消防団と連携した実動訓練へと段階的に引き上げる方針で、離島行政の現実を踏まえた防災力強化を目指している。