芸能・文化 OKINAWA考古学(18) 沖縄県本島北端部の国頭村。ここの宜名真集落の海岸(写真1)の沖合の深さ10㍍の海底に眠るのが宜名真沖海底遺跡だ。1872年に英国の商船ベナレス号が座礁・沈没して、遺跡を形成することとなった。 これまでに沖縄県立埋蔵文化財センターや南西諸島水中文化遺産研究会などによって複数回調査され、中国産陶磁器や欧州産陶器、金属製品、ガラス製品などが散布していることが確認された。フォークやガラス瓶の破片(写真2)… 2022/07/03
芸能・文化 OKINAWA考古学(16) 前回に続き、生産遺跡の紹介。西表島の魚垣に関しては、沖縄県立博物館による総合調査報告書で詳しく調べられている。また、小浜島の北西海岸から南にかけて魚垣が確認されている。数が多いのは珍しいそうだ。 なお、下地島から伊良部島にまたがる魚垣は、宮古島市の有形民俗文化財に指定されている。なお、宮古島の大浦湾北方には石切場跡がある。長方形に切り出していたことがうかがえる(写真1)。 沖縄には、古くから利用さ… 2022/07/01
芸能・文化 OKINAWA考古学(15) 生産遺跡と呼ばれるものがある。ものづくりに関わったあとの残る遺跡のことで、具体的には製塩・製鉄・鍛冶・炭窯・鋳造・工場跡などである。 先島諸島の沿岸では数多くの生産遺跡が確認されている。建築物等に使用する石材を切り取った場所である石切場跡、潮の干満の差を利用して魚を獲る魚垣跡等などがそれだ。 魚垣は、海岸の一部を石積みにより囲む形が一般的だ。 満潮時には囲まれた部分に魚が入ってきて、干潮時になると… 2022/06/30
芸能・文化 OKINAWA考古学(14) 陶器製手榴弾の何が危険性なのか。それは、はっきり分かっていないことに尽きる。那覇市立壺屋焼物博物館に展示されている陶器製手榴弾と地雷と、沖縄県平和祈念資料館に展示されている陶器製の手榴弾と地雷(現在の那覇空港近くで出土したという)を見ると、形が違う。 また、前回の掲載後にご興味を持たれ、グーグルで「陶器製手榴弾」と入力し、画像検索なさった方もおられよう。そうした方は、さまざまな形状の手榴弾が表示さ… 2022/06/29
芸能・文化 OKINAWA考古学(13) 前回の沖縄の海域で遺物を拾うのが危険なのかという問題提起の続き。沖縄がかつて日米の激戦地となっていたからだ。つまり、不発弾が今なお多く、むやみに触ると危険だからだ。 実際、2011年6月には那覇空港の手荷物検査で修学旅行生がバッグの中に機関銃の弾丸を持ち込み、金属探知機に引っかかり、警察が出動する騒ぎとなっている。調べに対し「座間味島付近の海岸で拾った。珍しいのでお土産に持って帰ろうと思った」と、… 2022/06/28
芸能・文化 OKINAWA考古学(12) 前回の続き。読者からの質問で二番目に多かったのが「勝手に持って帰ったら捕まるのだろうか」というもの。 そもそも、海底の遺物を持ち帰るというのは、「落とし物を拾う」行為に相当する。陸上で物を拾えば警察に届けるのが義務だ。では水中の場合はどうか。 まず、海岸等に有価物(割れていない皿や壺など)が漂着した場合は、遺失物法の適用を受ける。一方、有価物が漂流物又は沈没品として回収された場合は、水難救護法の適… 2022/06/27
芸能・文化 OKINAWA考古学(11) 連載開始からまもなく4カ月になろうとしているOKINAWA考古学。ここらで読者の皆様からのご質問に答えていきたい。多かったのが、この質問だ。 「掲載されている写真は難破船の残骸や割れた陶磁器などがほとんどだが、割れていないものが見つかった例はないのか?」 「海底遺跡の調査の歴史は新しく、まだまだ分かっていないことが多い。海底の遺物についても、どのような状態で見つかったのか。他に遺物はないのか。散布… 2022/06/26
芸能・文化 OKINAWA考古学(10) 先週に引き続き、沖縄本島うるま市沖合の南浮原島の海底に眠る難破船の遺物の紹介。沖縄県立埋蔵文化財センターの調査によると、海底の砂の中から船釘が2本露出しており、木製の船体の一部が残っていることが推察されるという。 また、海底の岩の間には透明なガラス製品や、鳥を模した装飾品などが見つかっている(写真1)。いつ頃の船なのか興味深い。 現場からは船体を安定させる重りとして使用されたバラストも見つかってい… 2022/06/25
芸能・文化 OKINAWA考古学(9) 今回は、沖縄本島近海の事例を紹介したい。うるま市勝連の沖に、南浮原島という小さな島がある(写真1)。 この島の海底に船体の一部や中国産陶磁器、ガラス製品、石のバラスト、鉄・銅製品などの近世・近代の遺物が確認されている。外国船が座礁・沈没したものと考えられる。岩盤が海面近くまで突き出た地形が多く、昔の船乗りには海の難所だったのだろう。海底には、鉄と考えられる物体に棒状の突起が2つあった。船体の一部と… 2022/06/24
芸能・文化 OKINAWA考古学(8) 多良間島北西部・高田海岸沖の海底遺跡。この海域で座礁・難破したオランダ商船ファンボッセ号の残骸と考えられる多量の遺物が確認されている。中国産陶器や、船の銅釘(写真1)、転覆を防ぐバラスト(重し)も見つかっている(写真2)。 なお、中には、用途の特定できない銅製品の破片も見つかっている(写真3)。一体、船のどこの部品だったのだろうか(写真提供=沖縄県立埋蔵文化財センター。同センター調査報告書第52集… 2022/06/23
芸能・文化 OKINAWA考古学(7) 先週お知らせした、多良間島北西部の高田海岸。難破したファンボッセ号は、上海からシンガポールに向かう途中だったとされている。沖縄県立埋蔵文化財センターでは、写真左奥に見える2つの岩の近くの海底で遺物を多数確認した。恐らく、この近くで座礁したのだと考えられる。 その1つが、中国産青花皿。絵付けが消えかけており、割れた部分が丸くなっていることなどから、海底で何度も摩擦を受けていたようだ。難破さえしなけれ… 2022/06/22
芸能・文化 OKINAWA考古学(6) 石垣島南西の黒島沖海底からも、多数の沖縄産陶器が密集した状態で見つかっている。種類としては、碗や壺、すり鉢などで、砂の中にたくさん埋もれていた。また、遺跡群の近くからは、木造船と思われる船体に一部も確認出来た(写真1)。 ヤンバル船と呼ばれる交易船が積荷を載せた状態で沈んでいる可能性があるというから、今後の詳細な調査が楽しみだ。当時の八重山諸島を往復していた船の形や、沖縄産陶器の運搬状況などを知る… 2022/06/21
芸能・文化 OKINAWA考古学(5) 潜水調査では、遺物が確認出来た場所に目印をつけ、散布している範囲を調べる(写真1)。海底に半分以上埋没している場合もあり、砂を払って遺物の確認を行ったり、2人がかりで連携を取りながら、GPSで位置記録を取ったりする。潜る時間が長くなるのも、むべなるかなだ。 ともあれ、努力の甲斐もあって、来間島沖の海底では、中国産青花皿、青磁碗、青磁香炉などを特定できている。大型の壺類も積んでいた船もあったと推定さ… 2022/06/20
芸能・文化 OKINAWA考古学(4) 宮古島南西に位置する小さな島、来間島。西部の海岸(写真1)には、16世紀前半と考えられる中国産陶磁器が多数確認されている。内面に十字花文が描かれた青花皿も漂着していた。浜辺の散歩が楽しくなりそうである。 海底も同様だった。沖縄県立埋蔵文化財センターが調査したところ、青花を中心に青磁・白磁・褐釉陶器などが見つかったのだ。琉球王国の全盛期には、中国と琉球との間に多くの貿易船が行き交った。同時期の県の陸… 2022/06/19
芸能・文化 OKINAWA考古学(3) 前回に続き、宮古島北方の巨大サンゴ礁群の八重干瀬での調査から。海底には船の残骸や、中国産陶磁器の他にガラス製のワイン瓶(写真1)も見つかっている。 中央の大きな丸いくぼみから瓶だと判別された。ガラスの中には大小様々な気泡が見られたという。 宮古島では、東部の吉野海岸に近世の陶磁器が散布している。また、海岸や海底には多量の方柱状や板状の石材、銅板などが見つかっていることから、昔の船乗りにとって海の難… 2022/06/18
芸能・文化 OKINAWA考古学(2) 当たり前ではあるが、海底だと足がつかない深さの場合がある。そうなると、連携作業が必要だ。遺物の位置を示す人と、海上でGPSを操作する人に分かれて記録していく。 更に、遺物が大きい場合は、こうやって2人がかりで潜ったまま目標物の計測や正確な実測図を作成していくのだ(写真1)。 遺物の種類は多岐にわたるが、グスク時代(11世紀から16世紀頃までの、琉球王国が成立し、王政が本格的に確立するまでの期間)以… 2022/06/17
芸能・文化 OKINAWA考古学(1) 東西に約千キロ、南北に4百キロの海域に大小様々な島が群在する沖縄県。先史時代より海を重要な生活や生産の場とし、琉球王国時代は交易で繁栄した歴史を持つ。 そんな沖縄沿岸部の海域には多くの遺跡が存在することが想定されている。沖縄県立埋蔵文化財センターでは、ユネスコが2009年1月に発効した「水中文化遺産保護条約」を受け、海底に眠る遺跡の分布状況や内容を把握する作業に乗り出している。 その調査は、根気強… 2022/06/16
芸能・文化 「素晴らしい式典」「復帰考えた」 八重山関係者も多数参加 沖縄復帰50周年記念式典には八重山関係者も参列し「素晴らしい式典だった」「復帰とは何か考えさせられた」などと感想を語った。 石垣市の中山義隆市長(八重山市町会会長)は「50年を節目に、新たな時代に向かうため、一つの決意を感じた」と強調。 今後の八重山の展望について「アジアのゲートウェイとして、海外に向けて開かれた観光地になる。市民生活を豊かにしたい」と力を込めた。 コロナ禍終息と観光再開に期待し「… 2022/05/16
芸能・文化 「祖国復帰は悲願」 前日祭で尚家23代当主 尚家と祝う沖縄県祖国復帰50周年「祖国復帰の日」前日祭(主催・沖縄県祖国復帰記念大会実行委員会)が14日午後、那覇市のパレット市民劇場で行われた。 ほぼ満員状態の会場で、尚家23代当主の尚衞氏はあいさつし「敗戦後の米軍統治下において、祖国日本への復帰は百万県民の悲願で、運動の積み重ねが日米両政府を動かした」と述べた。復帰50周年は沖縄にとって非常に重要な節目だと強調した。 尚氏は「尚家の魂は常に沖… 2022/05/15
芸能・文化 一足早い夏の訪れ宣言 日本最南端の海びらき 石垣市川平 「日本最南端!八重山の海びらき2022in石垣島」(主催・一般社団法人八重山ビジターズビューロー、YVB)が日午前、石垣市川平の底地ビーチで開かれた。ことし一年の海の安全を祈願し、一足早い夏の訪れを日本全国に宣言した。約800人(主催者発表)が来場した。 開会に先立ち、午前7時分から神司による安全祈願が始まった。気温は25度、水温は23度と過ごしやすく、水に入ると若干肌寒い気候となった。 オー… 2022/03/20