尖閣の字名変更可決 野党反対「無責任」、22日結論 議案上程「市の判断」 市議会総務財政委

市議会総務財政委員会で、尖閣諸島の字名変更に挙手で賛成する与党(左側)と反対する野党=11日午後

 石垣市議会の総務財政委員会(砥板芳行委員長)が11日、市役所で開かれ、尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を審議。採決では賛否同数となり、砥板委員長が可決を決定した。野党からは、字名変更で尖閣諸島周辺海域での緊張が高まる恐れがあるとして「無責任ではないか」(内原英聡氏)などと批判の声が続出した。議案は22日の最終本会議で再度採決され、結論が出る。

 字名変更の理由に関し、知念部長は「昭和に、魚釣島への住民登録が勘違いで受理されたことがあった」と述べ、尖閣諸島が石垣島市街地の「登野城」と混同された事例があったと報告。現在、尖閣諸島を住所として住民登録している者はいないが、76人が本籍を置いているという。
 野党の花谷史郎氏は「(事務的ミスが)昭和の時代に1件あったから、今変更するのか」と疑問を呈した。
 内原氏は議案上程に政府が関与している可能性を問い、知念永一郎総務部長は「中央(政府)との連携は全くない。我々の判断で議案を上げた」と説明した。
 内原氏は、字名変更について「政治的な案件」と指摘。「石垣市には、諸外国への影響を十分に考える責務が当然にある。近隣の地域や国に配慮があるか、ないかは大きな問題」と主張した。
 野党の宮良操氏は、八重山漁協がマグロ漁獲枠のうち80㌧を台湾から譲り受けているとして「字名変更には台湾も懸念を示しており、関係が悪くなると、漁獲枠に影響が出る可能性がある。漁協と調整して議案を出してほしかった」と苦言を呈した。
 砥板委員長は「漁獲枠は関係機関が各国に割り当てたもので、日本と台湾の間の話。石垣市や市議会が配慮すると、逆に政治問題化してしまう。総務財政委としてコミットする性質のものではない」と述べた。
 知念部長は、2017年に部課長級職員で設置した字名変更の検討委で、琉球大名誉教授の高良倉吉氏と長崎純心大の石井望准教授から意見を聴取したことを明らかにした。
 石井氏からは、尖閣が「登野城」とされてきた歴史的経緯を継承するため、変更後の字名に「登野城」を残すよう助言があったという。
 野党は採決を先延ばしするよう要求したが、与党は応じなかった。採決では与党が賛成、野党が反対し、賛否は3対3の同数。委員の平良秀之議長は、委員会で賛否が割れる案件に関し議長は本会議前に意思表示しないという行政実例に基づき、退席した。

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