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対空電子戦部隊で住民説明会 上地与那国町長は配備容認 防衛省

2025/12/05

説明会に出席した上地氏(写真右)と沖縄防衛局(同左)=4日夜、久部良多目的集会施設

防衛省と与那国町は4日夜、来年度予算で与那国駐屯地に配備予定の対空電子戦部隊の説明会を同町久部良で開催した。上地常夫町長は終了後、「就任前に配備は決まっていた。次年度予算は容認する」と述べ、配備を認める考えを示した。沖縄防衛局の下幸蔵企画部長は「敵航空部隊のレーダーなどを妨害するのが任務。与那国島を守るため、重要な装備だ」と配備に理解を求めた。今後も町と連携して丁寧に説明する意向も示した。

対空電子戦部隊は、相手の早期警戒管制機の能力を低減・無力化する。同機は戦闘機を含む航空部隊を指揮する中核となるため、沖縄防衛局は「来る相手の能力を下げる。防御のための装備品」と説明し、配備の意義を強調。配備後も「通常は駐屯地内の車庫に格納する。訓練時は使用する」とした。

与那国駐屯地は、来年度に対空電子戦部隊を配備し、既存の電子戦部隊を強化することで、人員は約270人になる予定。島しょ部の防衛能力を強化し、将来的には、高射中隊(地対空ミサイル、中SAM)の配備も予定するとした。

防衛局は、現代の安全保障では、「電磁波領域における優勢を確保する必要がある」と説明。相手通信の低減や無効化、相手からの妨害を低減・無効化、電波の分析、電磁波の管理など、いわゆる電子戦の能力強化が必要と主張した。九州や沖縄を含む全国に、小規模の電子戦部隊を配備すると紹介した。

新装備で使用する電磁波は携帯電話と同じ周波数で「人体を傷つける可能性がある電磁波とは違う」と説明。
住民からは、「電磁波の影響を受ける」との指摘もあったが、防衛局は「総務省の指針に従い、装備を運用する。WHOの基準にも合致する」とし、人体などへの悪影響を否定した。

今後、与那国駐屯地は東側に拡大予定で、隊庁舎や火薬庫、訓練場、覆道射場の建設を予定。対空電子戦部隊は、配備初期に既存の施設内に配備され、隊庁舎の完成後に東側に移る。

現在、防衛省は島内に約100戸の宿舎を整備しており、今後は比川地区に30から60戸ほどの新宿舎の整備を検討している。

上地氏は中SAMについて「説明を受けていない。具体的な時期が来れば、住民に情報をオープンにしたい」と述べた。

来場した市民からは「住民避難後の我々の権利を守る仕組みづくりが先だ」「ロシアの戦争を見ても、最も被害を受けるのは住民」との声が上がった。

防衛局は「我が国の安全保障環境は厳しい。外交を支えるために、抑止力の強化は必要」と訴え、配備に理解を求めた。
会場には120席が準備され、ほぼ満員だった。中華系や欧米のメディアも取材した。