視点 【視点】知事、分断ではなく融和導く使命 「慰霊の日」の23日、県は恒例の沖縄全戦没者追悼式が平和祈念公園を開き、玉城デニー知事が「平和宣言」を読み上げた。前年に続き、今年も米軍普天間飛行場の辺野古移設に触れたものの、明確に反対する文言は盛り込まなかった。政府との対決色が鮮明だった前年までとは一線を画した形だ。 追悼式は、政治的なメッセージを発信する場ではない。この場で辺野古に触れること自体が不適切だが、知事が前年に比べ穏当な表現にと… 2020/06/25
視点 【視点】字名変更、領土意識高める意義も 石垣市議会は22日、尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を賛成多数で可決した。尖閣の「登野城」を石垣島市街地の「登野城」と区別するための行政手続きだが、字名の変更を通じ、尖閣諸島が改めて沖縄県石垣市の行政区域であることを実感した人もいるだろう。国民の領土意識を高めることで、実効支配の強化にもつながる意義がある。 字名変更は石垣市議会で仲間均氏が提案し、市は2017年10月… 2020/06/24
視点 【視点】慰霊の日 平和の灯後世に 真夏へと向かう沖縄は、今年も「慰霊の日」を迎えた。爆弾の雨が沖縄各地に降り注いだ灼熱地獄の記憶は今も生々しく語り伝えられているが、戦争体験者は高齢化が進む。今を生きる世代は、沖縄戦の教訓を風化させず、平和の灯(ともしび)を後世へ受け継いでいかなくてはならない。 県によると、沖縄戦では住民と日本軍がそれぞれ約9万4千人、米軍が約1万2千人戦死した。八重山では、住民が避難先でマラリアにり患した「戦… 2020/06/23
視点 【視点】情報収集で支援策活用を 新型コロナウイルスの影響で減収になった事業者には持続化給付金をはじめ、国のさまざまな支援策があるが、周知が不十分だったり、インターネットを通じた申請方法が複雑で、分かりにくいという指摘がある。 持続化給付金に関しては、国がキャラバン隊を各地に派遣するほか、石垣市や与那国町は7月に新たな支援窓口を開設する予定だ。 せっかく受けられる支援を知識不足のため見過ごしてしまうのはもったいない。事業者で… 2020/06/16
視点 【視点】県議選〝与党勝利〟と言い切れず 県議選は玉城デニー知事を支える与党勢力が過半数を維持したものの議席を減らし、自民党などの野党勢力が議席を伸ばした。玉城知事も「厳しい結果」との受け止めを示すなど、単純に〝与党勝利〟とは言い切れない結果になった。玉城知事としては県議選に圧勝し、次期知事選に弾みをつける戦略だったが、状況はかえって混とんとしてきたと見るべきだろう。 県内は米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する「オール沖縄」と呼ばれ… 2020/06/10
視点 【視点】「反辺野古」勝利でも課題山積の玉城県政 県議選が7日投開票され、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する勢力が過半数を維持した。移設反対派は今後も沖縄政界を牽引(けんいん)することになる。 翁長雄志前知事の急逝に伴い、2018年9月の知事選に急きょ出馬して当選した玉城デニー知事にとって、今選挙は約2年間の県政運営の評価を問われる中間審判だった。 県議選の辺野古反対派過半数を受け、辺野古に関する玉城知事の政策は「翁長路線」としてだけで… 2020/06/08
視点 【視点】少子化、戦争に匹敵する惨禍 少子化や人口減少の進行は、戦後日本が直面する最大の国難かも知れない。日本の将来を支える有為の若者たちが大量に失われるという意味では戦争の惨禍と何ら変わらないが、こちらは静かに、しかも着実に日本の屋台骨をむしばんでいく。 昨年の推計出生数は過去最少の86万4000に人にとどまった。前年に比べ約5万4000人の減少で、米国が60~70年代に戦ったベトナム戦争の死者に匹敵する人口が失われたということ… 2020/06/05
視点 【視点】観光再開 感染防止へ手探り 新型コロナウイルスの影響で、県が自粛していた観光客の受け入れが1日から段階的に再開された。新規感染者が発生している東京や福岡など6都道県との往来自粛要請は継続しているが、18日には解除される見通しだ。感染拡大を防ぎながら観光地としてのにぎわいをどう取り戻していくか、手探りの取り組みが始まる。 石垣市は観光客受け入れに当たり、宿泊業者と感染防止協力協定の締結を始めた。 原則1週間以上の長期滞在… 2020/06/03
視点 【視点】世界の潮流ではない民主主義 東西冷戦が西側民主主義諸国の勝利に終わって以来、民主主義は世界の潮流だと思われてきたが、本当にそうだろうか。世界ではむしろ、自由や人権の抑圧に向けた動きが強まりつつあるように見える。 中国の全国人民代表大会(全人代)第3回会議は5月28日、香港に国家安全法制を導入する方針を決定した。同法制導入方針によると、国家の分裂や政権転覆、組織的テロ活動と外国勢力の香港への干渉を処罰するとしており、中央政… 2020/06/02
視点 【視点】トランプ氏と巨大IT企業の戦い 米短文投稿サイトのツイッター社がトランプ米大統領の投稿に対し、事実を確認するよう注意を喚起する「ファクトチェック」のラベルを付けた。これにトランプ氏は「言論の自由の弾圧」「巨大IT企業の検閲」などと猛反発し、大統領令などで対抗する可能性が取り沙汰されている。 米国ではトランプ政権になってから、巨大メディアやIT企業と、世界最強の権力者である大統領が正面衝突する構図が顕著になっている。後者は憲法… 2020/05/29
視点 【視点】新型コロナ 岐路に立つスポーツ 新型コロナウイルスの影響は、夏の風物詩となっている国民的行事にも及んだ。日本高野連は、今年の第102回全国高校野球権大会と地方大会の中止を決めた。夏の甲子園大会が中止されるのは戦後初の事態だ。 夏の甲子園は毎年のように多くのドラマを生み、沖縄県民も球児たちの活躍に励まされてきただけに、やむを得ないとはいえ中止は残念だ。春の甲子園に続く中止で、球児たちの落胆を思うと胸が痛い。 県高野連は県独自… 2020/05/25
視点 【視点】安定した台湾、沖縄にも不可欠 台湾の蔡英文総統が政権2期目をスタートさせた。民主主義や自由経済を標ぼうする台湾は、日本周辺では数少ない貴重なパートナーであり、八重山にとっても一衣帯水の間柄だ。台湾を自国の一部であると主張する中国は「一国二制度」による統一への圧力を強めている。沖縄県民としても台湾を側面から支援したい。 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、石垣市の姉妹都市である台湾蘇澳鎮はマスクを寄贈し、心温まる激励のメッセ… 2020/05/21
視点 【視点】「勝利宣言」はまだ早い 新型コロナウイルスの新規感染者数が目に見えて減少してきた。政府は新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を39県で解除し、残る8都道府県の解除に関しても21日に判断する。 3月から4月にかけての感染者急増を「第1波」と考え、今後の「第2波」「第3波」を引き続き警戒する必要がある。だが「第1波」に関しては、欧米のような大量の死者や医療崩壊といった事態には至らず、ひとまず当面の大きな危機はクリ… 2020/05/20
視点 【視点】復帰48年、コロナ後へ新戦略を 沖縄のリーディング産業である観光業がはらむ脆弱性を、いやおうなしに思い知らされる年になってしまったようだ。48回目となる沖縄の復帰記念日は「令和」の始まりを祝った昨年とは打って変わり、重苦しい雰囲気の中で迎えることになった。 2001年の9・11テロの際は、米軍基地が多い沖縄は危険だという風評被害が発生し、基地のない八重山も含めて観光客が急減した。その後、官民挙げた懸命な活動で苦境を脱し、特に… 2020/05/15
視点 【視点】中国の野心、沖縄の未来に影 石垣市の尖閣諸島周辺海域で、領海侵入した中国公船「海警」が与那国町漁協所属の漁船に接近、追尾する事態が発生した。海上保安庁の巡視船が警護に当たり、漁船の安全を確保したが、日本の主権が公然と侵害され、日本人の生命や安全が危機にさらされた重大な問題だ。日本政府や沖縄県には毅然とした対応が求められる。 与那国町議会は11日、尖閣諸島での警戒監視体制強化と安全操業を求める意見書を全会一致で可決した。町… 2020/05/12
視点 【視点】〝出口〟の先にも変容した社会 全国的に新型コロナウイルスの感染拡大は続いているが、地方によっては感染者増加のペースが衰えているところもあり、営業や外出の自粛解除に向けた「出口戦略」の議論が活発化し始めた。沖縄では5月に入って新たな感染者が確認されておらず、〝出口〟への模索が始まっている。 4日に開かれた県の専門家会議では「活動再開へのロードマップ」案が提示され、石垣市の中山義隆市長は6日「新型コロナショックからの回復プラン… 2020/05/11
視点 【視点】「コロナ後」の世界と沖縄 新型コロナウイルスの世界的な拡大が続く中、米国は、発生国である中国が初期の封じ込めに失敗し、情報の隠蔽でウイルスを拡散させる結果を招いたとして批判を強めている。 しかし世界的には「中国包囲網」構築の動きは広がっていない。報道によると、25日の主要7カ国(G7)外相会議は、米国が新型コロナウイルスを「武漢ウイルス」と呼ぶことにこだわったため、中国に配慮する各国の反発を招き、共同声明の発表が見送ら… 2020/04/30
視点 【視点】感染4人目、気の緩みは許されない 石垣市で新型コロナウイルスの感染者が最後に確認されて10日以上が経過し、新たな感染者が確認されないまま、特設された相談外来は終了。県は25日ぶりに「県内の感染者ゼロ」を発表―。疫病との戦いで久しぶりに明るい兆しが見え始め、市民に安心感が漂い始めた矢先、市で4人目の感染者が確認された。一瞬の気の緩みも許されない。そんな厳しい現実を、改めて思い知らされた。 ゴールデンウィーク(GW)が29日から本… 2020/04/29
視点 【視点】緊急宣言下、弱者に救いの手を 新型コロナウイルスの感染拡大による外出制限で、女性がDV(配偶者間などの暴力)被害にさらされるケースが増加している。緊急事態宣言下の日本で、隅に追いやられがちな弱い立場の人たちにどう手を差し伸べるかが大きな課題に浮上している。 国連報告書や各国報道によると、フランスでは3月17日に厳しい外出制限を適用して以降、DVの通報件数が30%増加。電話などでの相談件数もキプロスで30%、シンガポールでは… 2020/04/28
視点 【視点】きょうからGW「ステイホーム」を 全国的に新型コロナウイルスの勢いが衰えない。国の専門家会議は22日、都市部と地方間の人の移動を通じ、感染拡大が続く地域以外でも流行が発生する事例が後を絶たないと指摘した。 25日からゴールデンウィーク(GW)が始まる。5月6日までの期間中、大都市圏から沖縄への人の流れが再び増加する可能性が懸念されている。 航空各社が発表している期間中の予約状況を見ると、例年より予約率は大きく落ち込んでいると… 2020/04/25